この、KENZIE氏が語るところの「(J-POPの)独特な情緒や哀愁」が、現在も変わらず若年層の心も掴んでいることは、宇多田の「First Love」のリバイバルヒットを見ても、疑いようのないところだろう。

 最近では、90年代から00年代に流行したファッションや音楽を指す「Y2K(Year2000)」ブームが全世界的に勃興を見せている。

 K-POPシーンでも、98年にリリースされたガールズグループ・S.E.Sの代表曲「Dreams Come True」が新世代グループ・aespaによってアレンジカバーされたり、今年7月にデビューしたNewJeansのサウンドが90年代~00年代のシーンを彷彿とさせたりと、「ミレニアム時代」の再解釈が行われている。

 そんななか、90年代後半から00年代前半にアジアの人々の“青春”を形作った宇多田ヒカルが改めて“レジェンド”として評価され、より広く知れ渡っている現状は、ある意味自然なことと捉えられる。