宇多田のコーチェラ招聘(へい)にあたった、88rising設立者でCEOのショーン・ミヤシロ氏は、「宇多田ヒカルさんはレジェンドであり、私にとっての日本のヒーローでもあります。彼女をHead In The Clouds Foreverに招くことができ、まさに夢が実現しました」と語っている。

 J-POPのみならず、アジアンポップスのシーン全体を見渡しても“レジェンド”として位置づけられる存在である宇多田に、敬意を寄せるアジアのアーティストは少なくない。そのなかには、現在世界規模にまで市場を拡げているK-POPの第一線で活躍するクリエイターもいる。

 韓国の大手芸能事務所・SMエンターテインメントに所属し、BoA(00年デビュー)から東方神起、少女時代、EXO、Red Velvet、NCT 127、そしてaespa(20年デビュー)まで、長らくK-POPアーティストのプロデュースと作詞・作曲に携わり、いわゆる現行の“K-POPサウンド”の立役者の一人でもあるKENZIE氏。彼女はインタビューで、J-POPおよび宇多田が自身に与えた影響についてこうコメントしている。

「J-POPには独特な情緒や哀愁がありますよね。“J-POP”という言葉しか知らなかった私としては、音楽を知ってすごく驚きました。それでいろんなJ-POPを聴き出したら、J-POPの持つ旋律がすごく気に入ったので、この表現を韓国の音楽にも乗せたいと思うようになりました。だから私の初期の作品を聴けば、その旋律が表れていると思います。少女時代の<Into The New World>もそうですしね。聴いていたのは、2000年ごろの曲とそれ以前の曲ですから、宇多田ヒカルなどの影響はありますかね」(『ニュー・コリアン・ミュージック・ガイダンス』/音楽出版社より)