4期生12人との“融合”と齊藤京子の初センター

 約2年半ぶりとなる新メンバーとして4期生がお披露目されたのは10月。オフィシャルYouTubeチャンネルにて「四期生ドキュメンタリー・フルバージョン」として、12人のメンバーが紹介され、オーディション時の様子やパーソナリティが明らかとなった。ここでは個別の紹介は避けるが、なかでも千葉県出身の清水理央は、4期生楽曲「ブルーベリー&ラズベリー」でセンターを務めるなど、チアダンス経験者らしくフレッシュな表情やダンスを発信している。もっとも人数の多い4期なだけに、個性的なメンバーが揃っている印象で、日向坂46に新たな風を吹かせてくれる予感がしている。

 9月10日の愛知を皮切りに、兵庫、神奈川、東京と全国4都市で開催された全国ツアー『Happy Smile Tour 2022』では、加入まもない4期生のライブ初参加(東京公演)や、これまでとは異なるステージングで魅了。この1年は東京ドーム公演や『W-KEYAKI FES. 2022』など大きな舞台で夢を叶え続けてきた日向坂46だが、ここでは新たな仲間を加えて、タイトル通り笑顔あふれるステージで、これからも挑戦し続けるグループの姿を見せてくれていた。

 特に印象的だったのはオープニングの、フードの付いた黒い衣装に身を包んだメンバーが登場し、不敵な笑みを浮かべながら披露した1stアルバム収録曲「My fans」(20)だ。そこからダンストラックを挟みつつ、日向坂46らしい楽曲が展開され、多様性のあるユニット曲など、研ぎ澄まされた表現力の高さをこの公演から感じられた。初パフォーマンスとなった4期生たちも初めてとは思えないソロダンスを見せつけると、「ブルーベリー&ラズベリー」ではフレッシュな笑顔でチームワークの高さを披露。4期生という新たなメンバーと既存のメンバーの融合が、本公演のひとつのキーワードだったように思う。

 この全国ツアー期間中には8thシングル「月と星が踊るMidnight」をリリース。このシングルの表題曲では歌唱力に定評のある齊藤京子がセンターを務めていることでも話題となった。過去には18年のけやき坂46のデビューアルバム収録曲「それでも歩いてる」、「NO WAR in the future」などでもセンターを経験してきた齊藤だが、表題曲としてはこれが初めて。歌唱力・パフォーマンス力ともに優れた能力を持っている彼女の、待望のセンター抜擢だった。

 というのも、齊藤といえば冠バラエティー番組『キョコロヒー』(テレビ朝日系)でも多くの見せ場を作り、YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』では「僕なんか」をソロ歌唱、オリジナルソロライブ『MTV LIVE SESSIONS Kyoko Saito from Hinatazaka46』では、中森明菜の「禁区」(83)やRADWIMPSの「なんでもないや」(16)などさまざまな楽曲を通して多彩な引き出しを見せ、アイドルの枠を超えてソロアーティストとしての魅力を音楽ファンへと届けていった。そうしたなかでのセンター抜擢は、これまでの日向坂46らしさを継承しつつも、グループが新たなフェーズへと向かう一歩となった。