フレックス制度の注意点
魅力的な点が多くあるフレックス制度ですが、注意しておきたい点もあります。
フレックス制度の注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。
管理者が労働時間をきちんと把握する
フレックス制度は勤務時間を従業員自らに委ねるという制度ではありますが、きちんと会社の総務などの管理者が従業員の勤務時間を把握することは必須です。
従業員によっては、明らかに毎回サービス残業をおこなう勤務体系になってしまっている場合や、勤務時間が足りない状況になっている社員がいる可能性もあります。
管理ツールを導入したり、勤怠簿を目視化できるようにするなど工夫しましょう。
管理者だけが把握するのではなく、チームの上長にも部下の勤務時間が共有できるような仕組みにすることが最も望ましいです。
コアタイム内での遅刻・早退
フレキシブルタイムでの遅刻や早退は発生しませんが、コアタイム内での遅刻や早退は発生するので注意が必要です。
コアタイムは原則終業時間内なのですが、フレキシブルに勤務時間が設定できるがゆえに、コアタイム内での勤務時間の認識がルーズになっていることもあり得ます。
従業員自らがしっかりと勤務の時間について意識することが重要です。
しかし、コアタイム内で遅刻や早退があり勤務時間が短くなっていても、フレキシブルタイム内で補われていれば賃金カットなどの対象にはなりません。
コアタイム内での遅刻や早退に関しては、企業として別途ルール作りが必要になってきます。
フレックス制度の残業
フレックス制度が導入されることで、無制限に働かされるという認識を持つ人も多いのですが、きちんと法定労働時間を超えた場合には時間外労働となるので残業扱いになります。
ただし、1日に8時間以上労働したからと言って、その時間がすぐに労働時間になるということではなく、清算期間内でオーバーしていた分が時間外労働の対象となります。
1日多く働いていても、他の日で短く働いている場合は±0となることと同じ原理です。
導入時にはしっかりと従業員に残業についての仕組みをお伝えをしておく必要があります。
フレックス制度を取り入れている企業
フレックス制度を取り入れている企業はまだまだ少ないとされていますが、どのような企業が取り入れているのでしょうか。
個人で完結できる職種の導入率は好調
個人で完結できるような職種、例えば、エンジニアやプログラマー、デザイナーなどは導入率が高い傾向にあります。
個人の裁量で働くことができ、その方が業務効率も良いとされるような職種では多く導入されているのが実態です。
企業によっては、部門によって個人で完結できるという所もあるので、企業の制度としての一貫性を保つことが難しいということもあります。
チームワークを必要とする職種の導入率は不調
チームワークを必要とする職種、例えば、工場のラインや接客の職種などはフレックス制度の導入が難しいとされます。
業務を行うためにも一定の人工が必要となってくることからも、人員を確保する必要があるので、フレックス制度ではなくシフト制度で時間を区切る場合が多いです。
その他にも、クライアントに対応する時間を合わせる必要がある営業職や、自由に出勤時間が選べない医師や教師などもフレックス制度の導入は難しい職業です。
一部の大手企業の導入はある
一部の大手企業ではフレックス制度を導入しているところもあります。
企業としての体制も整っており、社内のイントラなども完全に整備されている企業では導入もスムーズに行える傾向に。
フレックス制度を導入している企業を一部ご紹介します。
■ NTTドコモ
スマホなどの通信サービスで知られる大手のNTTドコモも先進的にフレックス制度を取り入れています。
セミナーなどの学習時間の確保や、プライベートの充実を重視することで仕事の生産性の向上を高めることを目的にしています。
朝10時~15時がコアタイムとなっており、従業員は自身の勤務時間を柔軟に設定しています。
■ 住友商事
住友商事は全社的に、有給休暇取得促進やプレミアムフライデーの導入、オフィス環境とワークスタイルの見直しなど、働き方改革について前向きに取り組んでいる企業のひとつです。
フレックス制度も導入されており、従業員が業務において最高のパフォーマンスを実現できるように進めています。
■ アサヒビール
飲料の大手企業アサヒビールもフレックス制度を導入しています。
ミッションを「全従業員が安全で健康に働ける環境をつくること」としていることから、フレックス制度を導入しました。
より柔軟な働き方ができるようにスーパーフレックス制度を採用しています。