◆不安と混乱で冷や汗

不安と混乱で冷や汗
 心臓が急にドキドキと大きな音を立てたと話す美也子さんでしたが、運転席で明らかにうろたえる彼氏の様子もまた、自分の勘の正しさを伝えるようでした。

 きっぱり別れたと言っていた元カノが何の用なのか、どうして彼氏は何も言ってくれないのか、不安と混乱で冷や汗が流れたそうです。

 廊下にいた女性について一言も触れないまま、自分の駐車スペースに停めてある美也子さんのクルマの前で停車した彼氏は、「気をつけてね」とぎこちない笑顔を向けます。

「……」

 これが2つ目の異常で、事態について何の説明もしないまま自分を帰そうとする彼氏の姿に、美也子さんははっきりと落胆を覚えました。

◆2人で部屋に入っていく光景にがく然

 美也子さんは何も言わずに自分のクルマに乗り込むと、彼氏のアパートから離れ、近くの公園まで走らせます。

 公園には駐車場があり、そこにクルマを駐めると早足で彼氏のアパートまで戻りました。

2人で部屋に入っていく光景にがく然
 彼氏の部屋を見ると、目に入ったのは廊下に立つ彼氏と先ほどの女性が小走りに駆け寄るところ。

 仲睦まじそうに肩を寄せ合ってドアを開け、吸い込まれるようにふたりがなかに消えるのを、美也子さんは息を詰めて見ていたそうです。

「どうして元カノと思ったかって、彼氏から聞いていた雰囲気とそっくりだったんですよね。『執着心が強くて、喧嘩すると連絡もなしに家までくるから迷惑した』とか彼氏は話していたけれど、いないとわかっても部屋の前から離れないって、普通じゃないですよ。彼氏のクルマが入ってきて慌てて逃げるとか、いかにも元カノっぽいなって」