江戸時代にはマグロは不人気。傷みやすいから嫌われ者で、廃棄される魚だった

――そもそもマグロは、なぜ日本人からこんなに愛されているのでしょう?

「江戸時代には、マグロは捨てられる魚だったそうです。身が傷みやすく、猫もまたいで通る『猫またぎ』と呼ばれるほど嫌われていたのだとか。

でも、しょうゆに漬けて保存期間を延ばす調理法『づけ』が出てきたり、日本人の嗜好が変化したり、冷凍・冷蔵や運搬の技術が発達したりして、マグロの人気が上昇したようです。

今や日本だけなく、和食ブームで世界的にもマグロ人気が高まっていますよね。個体数が少なく、捕れると高値で売れるので、『海のダイヤ』とも呼ばれているそうです」

(「近大マグロと選抜鮮魚のお造り盛り」は近大マグロの“近大卒業証書”付き)

丹念に育てたマグロを出荷するときは、箱入り娘を嫁に出す気分

――撮影や取材を通じて、改めて気付いたマグロの魅力はありますか?

「繊細ながらパワフルな育ちっぷりが、なんともかわいい魚だなぁ、と思いました。『TUNAガール』は、水産学科の学生が研究合宿を訪れて養殖を学ぶ物語です。

クロマグロの卵をふ化させて、陸上の水槽で1ヵ月強育てて、5~7センチの稚魚を海上のいけすに放つまでを描いてるのですが、ふ化したての仔魚が弱々しく漂う姿を撮影したときは、感激して涙が出そうになりました。

死亡率が高いので、『みんな頑張れ……!』という気持ちでしたね。それから、稚魚を小割いけすに放つシーンでは、主演の小芝風花さんの『元気に育つんやで~』というセリフに、スタッフ一同が感情移入していました。

成長速度がとにかく早い魚なので、約10日のドラマ撮影期間に撮りたいサイズの稚魚がおらず、『すみません、生後10日頃の死骸を置いておいてください……』と研究所に頼むなど、いろいろとご協力いただきました。

研究所の皆さんは、『丹念に育てたマグロを出荷するときは、箱入り娘を嫁に出すような気持ちだ』とおっしゃっていましたが、その通りだなぁと思いました」

(安田監督作品『TUNAガール』には、稚魚を小割いけすに放つシーンが登場 (C)吉本興業/NTTぷらら)

『近畿大学水産研究所 銀座店』で、養殖マグロのおいしさを確かめてほしい

――養殖のマグロと天然のマグロとでは、味に差はないのでしょうか?

「個人的には、養殖マグロでも味に遜色はないと感じています。養殖マグロは栄養が行き渡って脂が乗っているので、赤身の部分でもなんとなくトロのようなまろやかな味わいです。

『近畿大学水産研究所 銀座店』でも、『近大マグロと選抜鮮魚のお造り盛り』をはじめとして、さまざまなメニューで近大マグロのおいしさを実感できるので、皆さんにも実際に自分の舌で確かめていただきたいですね」

(「養殖マグロのおいしさを多くの人に知ってほしい」と話す安田さん)

みんな大好きマグロについての知識が増えれば、飲み会での注目度も高まりそう!

今回、取材にご協力くださった「近畿大学水産研究所 銀座店」の他に大阪店もあるので、近大マグロの味をぜひ確かめたいという方は、お近くの店舗にぜひ足を運んでみては?

また『TUNAガール』と併せて、近畿大学水産研究所の教授や学生たちにインタビューしたドキュメンタリー映像『海を耕す者たち~近大マグロの歴史と未来~』も配信中なので、近大マグロについてさらに詳しく知りたい人は、ぜひチェックしてみてください。

居酒屋でも誰もが頼みたがるマグロについて事情通になれば、飲み会でも注目度が上がること間違いなし!出てきたメニューもよりおいしくいただけるはず♪

安田真奈(映画監督・脚本家)
奈良県出身、大阪府在住。大学の映画サークルで8ミリ映画を撮り始め、メーカー退職後、2006年映画『幸福(しあわせ)のスイッチ』監督・脚本で劇場デビュー。上野樹里×沢田研二の電器屋親子物語。当作品で、第16回日本映画批評家大賞にて特別女性監督賞、第2回おおさかシネマフェスティバルにて脚本賞を受賞。以降、育児のため11年間脚本業を中心に活動し、NHKドラマ『やさしい花』脚本などを執筆。堀田真由主演『36.8℃ サンジュウロクドハチブ』監督・脚本(2017年公開)、小芝風花主演『TUNAガール』監督・脚本(2019年配信)。

【取材協力】
近畿大学水産研究所 銀座店
住所:東京都中央区銀座6-2 東京高速道路山下ビル2F
電話:03-6228-5863

提供・UpU

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