12月8日放送『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で行われたのは、「アントニオ猪木スゴイぞ芸人」。今年10月1日に逝去したアントニオ猪木をテーマに据え、伝説や名場面を紹介する特集だ。

 実はこの企画、猪木の生前から話は進んでいたものの、結果的に追悼という形になってしまったらしい。なんにせよ、『ワールドプロレスリング』を放送するテレ朝で、かつ、『ワープロ』のディレクターだった加地倫三プロデューサーが制作する『アメトーーク!』だからこそ、形になった企画と思うのだ。

 とはいえ、同番組が今まで「アントニオ猪木」をテーマにしてこなかったという事実は、意外でもあった。

 少しこじつけると、今回の『アメトーーク!』が放送されたのは、12月8日の午後11時30分~12月9日深夜12時30分の1時間である。そして、かつて“神の子”(「神」とはもちろん猪木のこと)と呼ばれた中邑真輔がIWGPヘビー級王座を史上最年少記録(23歳9カ月)で戴冠したのも、2003年の12月9日だった。

 今回、スタジオに登場したのは、有田哲平(くりぃむしちゅー)、ケンドーコバヤシ、勝俣州和、ユリオカ超特Q、増田英彦(ますだおかだ)、古坂大魔王という6人の芸人。どうやら、全員が猪木にまつわる衣装を選んで来ていたようだ。例えば、ケンコバは猪木が元妻・倍賞美津子との旅行時に着ていたアロハシャツ(に似たデザインのシャツ)を着てきていたし、古坂は自前の初代IWGPチャンピオンベルトのレプリカを持参してきた(ちなみに古坂は小6のときに猪木に弟子入りを直訴し、断られた過去がある)。猪木コスで、すでに大喜利が始まっているのだ。

 セットをよく見ると、背景のカエルのぬいぐるみの首には赤いタオルが巻いてあり、MC・土田晃之(体調不良になった蛍原徹の代役)の横にはコシティが置いてあった。そして、その横には猪木の等身大パネルが飾られている。

「このパネルはもともと、新日本(プロレス)の道場に飾られてあったの。棚橋(弘至)が『猪木さん路線から抜け出さなきゃいけない!』ということで、道場から外してしまったんですよ。で、それを捨てようってなった。でも、棚橋は自分で外したけど、『いや、外したけど捨てちゃダメ』って言って。倉庫にずっと置いてたやつをお借りしてきたんです。たぶん、売ったら何千万円とするんじゃないの?」(有田)

 棚橋が外したという話が定説となっているが、実際、棚橋は「外したらどうですか?」と提言しただけである。パネルを直接外したのは、新日本プロレス選手寮で寮長を務める“虎ハンター”小林邦昭だ。2019年の台風で多摩川が氾濫し、新日道場に浸水した流れで廃棄されそうになったものの、すんでのところで救出され、今まで道場に保管されていたらしい。

 つくづく、捨てなくてよかった。「売ったら何千万円~」という有田の推測は決してオーバーではなく、この猪木パネルには1000万円以上の値が付いてもおかしくないと思う。