フリーランス翻訳者1年目の心境①
(画像=『HiCareer』より引用)

松本:そういった面も含めて、私は本当に分かっていなかったなと。同僚だった時は、淡々とコーディネーションの仕事をしている姿しか見ていなかったので、そんなに翻訳が好きで情熱に溢れてるとは思っていなかったです。綺麗な文章が好きで、自分でも組み立ててみたいっていう心の底からくる言語愛みたいなものを今は感じます。

寺島:今、毎日が本当に楽しいんです。もちろん子育てもあって忙しいんですけど…。社内翻訳者もやっていましたが、やはりフリーランスとして独立したことで、ようやく翻訳者としての第一歩を踏み出せたので。

去年1年間育休取っていたのもあって、ようやく生きてるって感じがします(笑)。自分の人生を生きてる。そして自分がやりたかったことができてるっていうのがすごく嬉しいので、モチベーションを評価していただけてるというのはすごい嬉しいです。

松本:テンナインと寺島さんは理想の関係に近いですよね。お互いがとてもWin-Winなので。寺島さんはこちらが必要としているチェック作業やポストエディットも積極的に引き受けてくれますし。

寺島:翻訳に関わること全般が好きなので。ポストエディットもチェックも楽しいんですよ。

松本:翻訳コーディネーターのお仕事は振り返ってみていかがでしたか?

寺島:楽しかったです。コーディネーターも結構天職だったんじゃないかなと思っています。先ほども言った通り人と話すのが好きなので、クライアントや翻訳者とコミュニケーションを取るのは楽しかったです。何より、素晴らしい翻訳者の皆さんの訳文に触れられたり、様々な翻訳スタイルを知ることができたりすることも大きな利点でした。

「翻訳者になりたい」とか「翻訳に関わりたいけど、どういう風に始めたらいいかわからない」みたいな人には、コーディネーターのお仕事は本当におすすめだなって思います。それで翻訳者への向き不向きも分かるだろうし、実際の流れも分かるだろうし。私自身がそうだったので。

松本:コーディネーターを経て翻訳者になることのメリットがあるんでしょうね。

寺島:メリットだらけだと思います。コーディネーターの気持ちや求めている事が分かるようになるので、できるだけ寄り添った対応ができるようになりますね。依頼されたことプラスアルファで、「ここはこうしましょうか?」という風に自分から提案できたり。自分に余裕があればの話にはなりますけど…。

松本:細かいレイアウト調整をしてくれるのは本当に有難いんですよね。

寺島:レイアウト調整が苦にならないんですよ(笑)。あと、コーディネーターを経ると、クライアントの気持ちも想像しやすいですね。クライアントだったらこうしてほしいだろうなという視点からも考えます。あえて指示されなくても、クライアントから求められていることが分かることも、コーディネーターを経験したことの大きな強みに感じます。

松本:最終納品物を作り上げるにあたってクライアント側の最終確認や協力が必要だったりしますもんね。

あと、納品した後の「次」を想像できるっていうのは、コーディネーターにも翻訳者さんにも結構重要だと思います。納品したものがあるからこそ、どこかの誰かの次のアクションが起きるわけですよね。例えばある製品の紹介に関する資料だったら、その資料の翻訳を見て、誰かがその商品を買うかもしれない。そういう風に世の中の次のアクションを生み出しているんですよね。

フリーランス翻訳者1年目の心境①
(画像=『HiCareer』より引用)

寺島:私も本当にそう思います。そういう風に、間接的にでも「自分が助けになれている」「貢献できている」というのが嬉しいですね。

松本:私たちのお仕事が次のアクションを生み出してるっていうことをイメージすると、コーディネートも翻訳も「ここはこういう風にした方が良い」という工夫が思いつきやすいですよね。

寺島:そうですね。そういう意味では、自分の翻訳物がどのように使われるのか、どういった背景があるのか、どういうクライアントなのか、過去の訳文はどんなスタイルかなどの情報もきちんと調査した上で翻訳することが本当に重要だと考えています。今は便利なことにWeb上でかなり細かい情報まで調査できるので、翻訳者の仕事の半分は調査なんじゃないかなと思うほど私は細かく調べまくっています。そうすることで、クライアントが求める訳文にできるだけ近づけられると思うので。

松本:次は翻訳の勉強方法について掘り下げたいと思うんですけど、何が一番役に立ちましたか?

寺島:毎日、色々なことの積み重ねで力をつけてきたので、これが一番という方法はないですね。先ほどの英文添削もずっと続けていました。一日でぐんと伸びる事はないので、やはり一歩一歩の積み重ねが重要かなと。好きだから続けられているのだとは思うんですけど…。毎日、ひとつひとつの案件を大事にしながら、この表現の方がいいのかな、こっちの方がいいかなって悩みながら学び、吸収し続けている感じです。

これは皆さんやっている事だとは思うんですけど、自分用のメモをファイルにまとめています。自分の翻訳の癖、いいなと思った文章、要注意用語などをまとめた用語・例文集のようなものですね。以前までは紙のノートにまとめていたのですが、数が膨大になってくると百科事典みたいになってすぐに参照できなくて(笑)。今はExcelファイルにまとめて、いつでもすぐに調べたいことを探せるような形に変更しました。

あとは、翻訳のチェックはすごい勉強になりました。お上手な方の訳文チェックは特に勉強になります。

松本:言ってしまえば、「盗む」という感じですかね。

寺島:そうです、そうです。私も盗みまくっています(笑)。チェックもそうだし、綺麗な日本語の文も参考になります。記事とか雑誌とか本とか、何でもいいんですけど、とにかく綺麗な文に触れると、それが自分の糧になるので。

松本:最初は真似ることから始めるって言いますもんね。ゼロからのスタートの時は、真似ていきながら少しずつ自分のスタイルを作り上げていくのかもしれないですね。

寺島:そうなんですよね。本当に難しいです。原文の意図を壊さずに綺麗で自然な日本語にするために、日々一文一文考察しながら取り組んでいます。

フリーランス翻訳者1年目の心境①
(画像=『HiCareer』より引用)


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