【今週の一冊】

「誰も知らない世界のことわざ」エラ・フランシス・サンダース作、前田まゆみ訳、創元社、2016年

通訳者にとってことわざや慣用句、ジョークやダジャレなどを訳すことほど神経をつかうことはない。なぜならそうしたことばにはそれぞれの文化や歴史、慣習などが反映されているから。多数の国から参加者が出席する国際会議では、プレゼンで誰かがジョークを言った場合、できれば全員が同じタイミングで笑ってほしい。よって、通訳をする際にもタイミングが大事になってくる。

今回ご紹介するのは世界のことわざを集めた一冊。見開き一ページで美しい絵が添えられ、その国のことばでの表記もある。日本からは「サルも木から落ちる」が登場。英語で直訳しても通じるが、ほかにもEven Homer sometimes nodsがある。こちらは大詩人ホメロスがお目見えするものだ。

さて、本書のような場合、私は最初のページから読むよりも、目次から好きな個所を読みたい。目下、自分自身が関心を抱いている国のことわざを探してみるのだ。ちょうど先日の国際会議でオランダの方が登壇されたので、オランダのことわざをチェック。「テーブルクロスには小さすぎ、ナプキンには大きすぎる」(p34)という表現が掲載されていた。日本の「帯に短し襷(たすき)に長し」と同じだなと嬉しくなった。


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