◆演技していることを感じさせない演技

決して仲のよい兄弟ではなかったふたり。物語の冒頭で兄の武志は渡米して、音信不通になってしまいます。諭が俳優として成功し始めた頃、アメリカから「兄(武志)が脳卒中で倒れた」と電話が入り、第7話で兄弟は15年以上ぶりの再会を果たします。

松尾諭 『拾われた男』(文藝春秋)
松尾諭 『拾われた男』(文藝春秋)
病におかされ、やせ細りガリガリの武志(草彅)…からの回想シーンでは、アメリカでの生活を楽しみながらも厳しい環境に晒される姿や、家族とのことに苦悩する姿が描かれました。彼の演技はどうしてこうも“自然体”に見えるのでしょうか。