◆安田顕だからできる“眼”と“佇まい”の演技

安田の演技に私たちが惹かれるのは、“眼”と“佇まい”にあると考えます。彼の大きな“眼”には、役が抱いている複雑な感情をストレートに視聴者に伝える力があるのです。また風貌や衣装ではなく、役柄を“佇まい”で表現できるのも安田の魅力。『PICU』でも、どの“瞳”と“佇まい”で視聴者を惹きつけています。

『PICU』で演じているのは、日本各地でPICU(小児専門の集中治療室)の整備を推し進めてきた人物・植野元。北海道の地で、医療用ジェット機を運用する日本屈指のPICU開設を目指し日々奮闘しています。主人公・武四郎(吉沢亮)をはじめとする医師や看護師、そして患者に、真摯に寄り添うPICU課長です。

ただ優しいだけの上司、医師ではありません。「小児医療を発展させたい」という強い信念と、周囲の人たちを包み込む温かさが同居する眼差し。そして医師として、課長としての責務を背負った立ち姿。安田顕だからできる“眼”と“佇まい”の演技で、物語を支える大きな柱となっています。

◆拾われた男/自然と“そこ”に溶け込む草彅剛の存在感

最後に外せないのがNHKドラマ10『拾われた男』(火曜夜10時~)に出演している草彅剛です。本作はNHK・BSプレミアムで先んじて放送されていたので、既に夏クールで楽しまれた方もいらっしゃるとは思いますが、地上波の秋ドラマとしてどうしても紹介せずにはいられませんでした。

昨年の大河にも出演していた草彅ですが、本作でいよいよ連続ドラマの世界に戻ってきたという感触が…! SMAPファンの筆者としてはそれだけでも嬉しくてたまりません。『拾われた男』は俳優・松尾諭のエッセイを原作に松尾の半生を描いた物語で、松尾諭をモデルにした松“戸”諭(仲野太賀)が主人公。草彅はその兄・松戸武志を演じています。