夫の扶養の範囲内の収入となるよう、パートで収入を調整しながら働いている主婦の方も多いのではないでしょうか?
確かに額面年収106万円を超えると、社会保険料の支払義務が生じて手取りが少なくなる可能性があります。
しかし、目先の支出増を気にして「年収106万円以下」にこだわりすぎると老後の生活が苦しくなるリスクもあります。
とくに、平均寿命が男性よりも長い女性は注意しなければなりません。では、パート主婦が注意すべき3つのリスクについて解説します。
扶養内で働いた主婦はトータルでは損をする可能性が高い
上述の通り106万円超の収入があると、社会保険の加入義務が適用されます。しかし、扶養内で働いている主婦の場合、トータルで考えると損をする可能性が高くなります。
50歳から60歳まで10年間110万円を稼いで社会保険に加入した場合と、年収を106万円以下に収入を抑えて社会保険に加入しなかった場合の収支を比較してみましょう。
結果として、社会保険に加入したほうが、90歳まで生きた場合に金銭的には得になります。
年収がたった4万円異なるだけで、老後に厚生年金が受け取れます。さらに長い期間働いて多くの収入を稼げば、受け取れる金額はより大きくなるので、経済的にはさらにプラスです。
パート主婦は目先の収支にとらわれて「106万円の壁」にこだわりすぎると、トータルでは損をしてしまう可能性があります。
基本的には「働けるのであれば働いて社会保険に加入しておいたほうが、老後の生活にメリットがある」と理解しておきましょう。
夫の死亡後の年金が少なくなる
夫の扶養で老後生活する際の大きなリスクの1つが、夫の死亡後の生活費です。
厚生労働省が2022年に発表している厚生年金のモデル年金額は、月額219,593円となっています。この金額は、妻が夫の扶養となっている場合の夫婦2人分の給付水準です。
もしも夫が先に死亡した場合、妻には遺族年金が支給されますが、その金額は夫分の年金額の4分の3に減額されます。つまり、残された妻は月額165,000円程度の遺族年金しか受け取ることができません。
パート主婦が夫の扶養に入った場合、夫の死亡後に収入が大きく減少するリスクがあることを考慮しておきましょう。夫が死亡した後も生活に困らぬよう、主婦も社会保険に加入しておくなどの備えが必要です。