◆女であることより、母であることを優先するしかない

「夫ともずっとセックスレスが続いていました。でもセックスなんてする気にもなれなかった。女であることより、母であることを優先するしかないし、残業代が減って夫の給料が実質目減りしていることを思えば、私がパート時間を増やすしかない」

女であることなど忘れていたとアズサさんは笑う。そんなとき偶然、再会したのが元カレだ。この夏、子どもを連れて帰省したときにやはり帰省していた高校時代の元カレに会った。

「当時はキス止まりでした。ふたりとも第一志望の東京の大学に入ったら、きちんとつきあおうと励まし合って受験勉強していたんです。結局、ふたりともそれぞれ志望大学に合格して上京したんですが、違う大学だし会う機会も減っていって自然消滅。それがほぼ20年ぶりに再会したから、恥ずかしいようなうれしいような、妙な感じでした」

元カレも東京で仕事をしていることがわかり、連絡先を交換しあった。そして「友だちとして」会った。若いころ、まだ社会の垢にまみれていないころの自分を知っている相手に、お互いをさらけ出し合った。

◆「今もアズサがほしいよ」なんて言われて、体の奥が熱くなりました

「元カレは、夫婦関係がうまくいっていないと愚痴り、うちだってそうだよと私も言って。あのまま私たちがちゃんとつきあっていたらどうなっただろうねと話しました。『少なくとも、オレはアズサとしたかったよ。今もアズサがほしいよ』なんて言われて、体の奥が熱くなりました」

夫婦交換のイメージ画像
元カレだから警戒心はなかった。彼女も高校時代の「あの恋」を完結させたかった。なにより元カレに口説かれているのが心地よかったのだという。

「その夜、元カレとホテルに行ってしまいました。すごく感じることができて、私は自分が女であることも自覚できたし、過去を完結させることもできた」