◆アウトロまで夢見心地な気分
もちろん、アルバムのファーストトラック「Only One For Me」から聴いたっていい。清々しく爽快なストリングスが、ある日のとても穏やかな目覚めを告げるようで、これはフルーツ系だなと舌先でころころ転がしていると、そのあとに続く印象的なビートがややビターに響く。
歌詞も絶妙。「“ありがとう”の言葉で 伝え切れないよね」。ならばと、自ら作詞した岩田は、「そばにいて You’re the only one for me」とコーラス(サビ)で歌い継いで、「“ありがとう”」を強く言い換える。この「the only one」は、もちろんファンのこと。イントロから、アウトロまで夢見心地な気分が続く。
◆岩ちゃんがふりまいた魔法の粉
筆者にとっては、同じ三代目JSBのツインヴォーカル今市隆二のソロライブ『RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022 “RILY’S NIGHT”』東京公演(11月14日)からおよそ1週間後に、『“THE CHOCOLATE BOX”』北海道公演(11月22日)である。今市の「Highway to the moon」から岩田の「Ready?」へ、双璧をなすダンスナンバーの疾走が続く感覚。こんな贅沢が許されていいものだろうか!?
「今夜だけは、この2時間、ぼくにください」
「Ready?」をオープニングアクトとしたあとの開幕トークを、こんな甘い囁きのようなMCとした岩ちゃん、反則じゃないか。それが「Ready?」の2番ヴァース(Aメロ)、「わかってんだろう?」と連動すればするほど、いやいやこちらの心の準備はもうどんどん遅延するというのか、むしろ「止まれないよ?」状態のゾーンに入りつつあるのか。いずれにしろ、岩田はこの一瞬の間、オープニングを駆け抜けるとともに、客席へ魔法の粉をふりまいた。