事実婚の3つの課題・疑問
課題1 事実婚のパートナーが亡くなっても遺産を相続できない?
「事実婚のパートナーが亡くなったら相続はどうなりますか」と尋ねられたことがあります。
事実婚には相続権がないので、亡くなった人の法定相続人が遺産を引き継ぎます。そのような事態を回避するには、生前に遺言書を作成しておく必要があります。自分で作成する自筆証書遺言は、無料で手軽に書くことができますが、後々のトラブルを回避するために、できれば公正証書遺言にしておきましょう。費用はかかりますが、かなりの確率でトラブルの発生を防げます。
課題2 別れても慰謝料や財産分与を請求できない?
法律婚であれば、離婚の際に相手方に対して財産分与や慰謝料を当然請求することができます。しかし、事実婚を解消しても法律上はこれを請求できません。
しかし現在では、一般の夫婦とほぼ同様に生活している事実婚に対して、関係を解消する際に財産分与を認める方向にあります。
本来であれば法的な夫婦にしか認められない貞操義務についても、事実婚でも認める方向です。つまりパートナーの浮気が原因で事実婚を解消する場合も、慰謝料は請求できることになります。
ただし、事実婚の解消で財産分与や慰謝料を請求することは、まだまだ少数派ですから、弁護士などの専門家に相談した上で進めたほうがいいでしょう。
課題3 パートナーは死亡保険が受け取れない?
民間の生命保険では、死亡保険の受取人に指定できるのは基本的に配偶者か2親等内の親族に限定されています。
ただし、戸籍上の配偶者がいない、生計を同じにしているなどの要件を満たしていれば、契約できる保険もあります。しかしこの場合も法的な婚姻よりもハードルが高くなります。生命保険を契約する場合には、契約内容や要件を十分検討しましょう。
メリットやデメリットをしっかり比較して選択を
ひと昔前にはなかった職場での夫婦別姓が進むなど、少しずつではありますが多様化する価値観にあわせて、社会や仕組みは変化しています。
とはいえ、法整備はまだまだですし、結婚が家と家との結びつきという考えが根強いこともあって、日本では事実婚はまだ少数派です。
いずれにしても事実婚を考えるなら、メリットやデメリットを十分理解し、比較・検討しましょう。
文・井上通夫(行政書士・行政書士井上法務事務所代表)
【こちらの記事もおすすめ】
>女性を超える関心度!?「オトコの美活」意識調査結果
>住宅ローン控除(減税)をフル活用するための基本の「き」
>実はハイリスクなライフイベントTOP5。転職、住宅購入、結婚……
>2018年マンションの「駆け込み」需要が起きるってホント?
>じぶん時間がもっと増える「ちょこっと家事代行」3選