今年に入り、資源価格の高騰や円安による値上げラッシュが続いています。特に食料品の値上げは生活に直結する非常事態。

 にもかかわらず、OECD(経済協力開発機構)が発表した世界主要7カ国と韓国の平均賃金の過去20年間の推移によると、日本の会社員の収入は20年以上横ばいです。

豚の貯金箱とがま口の財布
◆女性の方が圧倒的に投資に向いている

「給料は上がらないのに、食料品の値上げで生活は苦しい。そんな状況下で、投資に注目している女性が増えています」

 そう話すのは、個人投資家の遠藤洋氏です。株式投資などの情報を共有し合うコミュニティー「ixi」を主宰しており、ここ2~3年で女性の参加が増加。今ではメンバーの3~4割が女性だそう。

「メンバーとの交流でわかったのは、男性より女性の方が圧倒的に投資に向いているということです。一般的に女性はメイクやファッション、グルメ、芸能などの流行り廃(すた)りに敏感で、常に消費の最先端にいます。一方で男性は自分の仕事や好きなものに没頭しがちで、女性ほど広くアンテナを張っていないことが多い。

投資の本質は、自分の生活圏内における変化を敏感に察知し、これから流行するものにいかに早く乗れるかということです。投資と聞くと『パソコンにかじりついて株価をじっと見るもの』というイメージがあるかもしれませんが、流行が株価に反映されるのは3か月から半年後。実は街に出て世の中の動きを感覚的に捉えられるほうが、より正確な投資判断に繋がるのです」

遠藤洋さん
遠藤洋さん
◆『鬼滅の刃』や『妖怪ウォッチ』おもちゃやゲームの株が爆上がりも

 女性ならではの投資手法を、具体的に教えてもらいました。

「例えば、友達の間で最近頻繁(ひんぱん)に話題に上がるものやお店、お子さんのいる家庭ならアニメやおもちゃに注目しましょう。特に後者は、『鬼滅の刃』や『妖怪ウォッチ』など近年でも株価の上がった例が多い。過去にはゲーム関連で『パズドラ』を出していたガンホーが株価70倍にまで爆上がりしたことがあります。

また、テレビCMなども流れ始めであれば有益な情報です。例えばRIZAPもCMが流れ始めた初動で買っていれば10倍に跳ね上がりました。雑誌も流行りのキーワードを知るのに一役買ってくれる。コンビニや本屋で表紙をチラッと見るだけでも十分有効でしょう。

流行するものは、意外と身の回りに転がっているもの。普段何気なく見聞きするものでも、それを投資に繋げようという発想を持つだけで世界が全然違ってくるはずです」

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
◆女性が経営する企業に注目

 さらに、女性ならではの視点として「女性が経営する会社を中心に見る」のも一つの手だと言います。

「近年は女性の社会進出が進み、女性経営者も非常に増えてきています。少し前に注目していたのは、アウトドア総合メーカーのスノーピークです。コロナ禍でお家時間が増える中、その反動かにわかにキャンプブームが巻き起こりました。女性がキャンプ用品を買う場合、やはりちょっとおしゃれなものがほしいと思うもの。その点、スノーピークでは、そうしたニーズをいち早く取り入れた商品展開を行っています。

先日、残念ながら代表の女性が社長職を辞任されてしまいましたが、同性ならではの視点で企業を評価することができるという点で非常に有効な手段だと考えます」

投資をする女性
◆流行にうとい人が話していたら株を手放すタイミング

 投資で頭を悩ませるものの一つに売買のタイミングがあるが、これも同様に行えるといいます。

「基本的にはサービスが流行っている限りは持っておいて、そろそろ皆が飽きてきたというタイミングで手放します。その判断基準としてひとつの目安となるのが、そのものが公用語のように扱われるようになってきたかどうか。

 先述した『鬼滅の刃』やライザップなどはもはやほとんどの人が知っています。もちろん事業形態によって例外はありますが、基本的にはそれだけで大丈夫です。特に、流行に疎(うと)そうな人がそれを口にしていたらもう旬ではないですね」

◆投資への向き合い方は「推し活」と同じ

遠藤洋さん
遠藤氏によれば、投資への向き合い方を「推し活」と同じだとのことです。

「これは男性でも女性でも同様にはなってしまいますが、投資は好きなアイドルにお金をつぎ込む“推し活”と似ているなと思うんです。投資だからと言って身構えすぎず、好きな企業への推し活と考えれば、ずいぶんハードルが下がりませんか?

推しの会社が成長すれば嬉しいはずですし、アイドルの推し活と違ってお金も増える。今、推し活に使っている時間とお金を、ちょっとでも未来の自分のために使う。そういう発想の転換も選択肢の1つではないでしょうか」

 企業への“推し活”で、昨今の値上げラッシュを乗り切りましょう。

<文/桜井カズキ>