ここ2、3年、筆者のところへ相談しに来る夫婦は必ずしも法律婚というわけではなく、「事実婚の場合」が増えているという印象があります。例えば、妊娠をきっかけに結婚の約束(=できちゃった婚)をしたけれど、籍を入れる前に喧嘩別れをしたり、男性が既婚者なので籍を入れることが叶わなかったり(=内縁)、女性の妊娠が分かった途端に男性が同棲先から逃げていったり……。

このような場合、女性から男性へ何を求めることができるでしょうか?それは、子供の認知、養育費、出産費用の支払いの3つです。

認知しないと戸籍の父親は空欄のまま

まず認知です。結婚していない男女の間に子が産まれた場合、子は母親(今回の場合、女性)の戸籍に入るのですが、子の戸籍の父親欄は空欄のままです。父親欄に男性の名前を記載するには、認知という手続きが必要で、具体的には男性が認知届に署名をし、役所へ提出しなければなりません。

もし認知手続きをしなければ養育費や出産費用の支払いを求めることが難しくなってしまいます。

養育費は互いの年収をもとに決める

次に子の養育費です。法律婚であれ事実婚であれ、父親は子に対して扶養義務を負っているので、男性は女性に対して子にかかるお金のうち、まとまった金額を毎月、支払わなければなりません。

家庭裁判所が公表している養育費算定表によると、例えば、男性の年収が800万円、女性が200万円の場合、子の養育費は月6万円から8万円が妥当な金額です。

出産育児一時金で足りない分を按分する

最後に出産費用ですが、妊娠中、出産後の検診費用、そして入院や分娩費用、部屋代と合わせると合計で50万円程度です。出産育児一時金として健康保険から42万円が支給されるので、残りの8万円程度を母親と父親で連帯して責任を負わなければなりません。例えば、男性の年収は800万円、女性は200万円の場合、互いの収入割合に応じて按分すると男性が全体の80%(6万4,000円)、女性が20%(1万6,000円)を負担することになります。

いつか当事者になった時のために

出産全体に占める婚外子の割合は、2008年時点で2.1%。1980年の0.8%に比べれば増えてはいるものの、まだまだ少数派です。ただいつ何時、あなたが当事者になるかもわかりませんし、あえて事実婚を選択しようとしている方もいるかもしれません。もし、交際相手と籍を入れようかどうか迷っている人がいたら、今回の話を予備知識として役立ててもらえればと思います。

文・露木幸彦(露木行政書士事務所)

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