体脂肪とは?その役割について

体脂肪はいざという時の備蓄となる

体脂肪は、体内のエネルギー源が不足した時、つまり体が飢餓状態になった時にエネルギー源として動員されていきます。人間の体は、頭を使う、運動をする、呼吸をする等、全ての行動においてエネルギーを消費します。そのため、エネルギー源が体内に無いと、生命に危険が及びます。

そのため、万が一という時に備えて、人間の体というのは、エネルギー源を備蓄しておくのです。飢餓状態になった場合等、なんらかのトラブルによって、エネルギー補給ができない時でも、生命を維持する事ができるようにしておかないと、いけないというわけです。

体脂肪は防寒着である

人間は恒温動物で、外気温が変わろうと常に37℃前後の体温を維持しようとします。これは、体脂肪が体内にあるからこそできるものなのです。体温を維持するにはエネルギーが必要です。そのため冬場などの外気温が低い時でも、体温を維持するためには、より高いエネルギーが必要になります。

エネルギーというのは、消費する際に熱を発します。そして、その熱によっても体温を維持する事が出来ます。体脂肪というのは、防寒着の役割も兼ねているのです。実際に遭難した場合、体脂肪率が多い人は、それだけ凍死する可能性が高いのも事実です。

体脂肪は衝突安全ボディを作ってくれる

脂肪はとても柔らかくて、流動性がある為、なかなか皮膚の上から掴もうとしても掴めません。ただ、柔らかいという事もあり、外部からの衝撃から筋肉や骨、内臓を守ってくれます。もし体脂肪が全く無ければ、通常だったら打撲で済む怪我が、骨折したり、内臓を損傷するリスクが高まります。

つまり、柔らかい体脂肪がクッション材となり、流動性がある為、外敵の衝撃によって体に加わる負荷を分散してくれて、体へのダメージがかなり軽減されていくのです。また、体脂肪は、皮下組織のすぐ下、内臓の周りについており、大事な組織を外的な衝撃から守ってくれているのです。

体脂肪は美しいボディラインをつくり上げる

体脂肪率が高すぎると、さすがにいけませんが、体脂肪がある程度体内に存在するために、なだらかなボディラインを作ってくれます。もし体脂肪が無ければ、骨と筋肉ばかりのごつごつとした、いわゆる女性らしい柔らかい曲線を描いたボディラインから遠ざかってしまいます。

ただ痩せているだけの体は、女性としての魅力が感じられません。男性が良いと感じる女性の体というのは、男性には無い、女性独特のしなやかさ、柔らかなボディラインと言っても過言ではないのです。体脂肪率が高すぎると、肥満のリスクが高まりますが、体脂肪率が低過ぎても問題ありなのです。

ダイエットで重要なのは体脂肪!

ダイエットは体脂肪率を基準に目標を立てる

ダイエットをするにあたって、最も多くの人がこだわるのは体重と体のサイズです。確かに体重と肥満度は、ある程度は比例しますが、過信し過ぎは禁物です。体重は質量であり、仮に体内が脂肪または筋肉だらけでも、とにかく体重が標準値であればいいという話となり、これだとあまりにも無理があります。

対して体脂肪率は、その人の体に占めている脂肪の割合であり、この体脂肪率を基準にすることで、肥満のリスク、生活習慣病のリスクが出てくるという事にいち早く気付けます。また、脂肪と筋肉量は同じ量でも比重が全く違いますので、体重だけで肥満度を判断しても、全く意味がありません。

何故体脂肪率が重要なのか?

体脂肪率は、その人の体内に存在する組織のうち、どのくらいが死亡で占められているかを示した数値です。体重と違って、体脂肪率は、割合で表しますので、適度に脂肪があり、筋肉がありという、非常にバランスが取れた体型を作りやすくなるのです。

体重だけだと、脂肪の量が多くて筋肉量が極端に少なくても、体重が標準値だったら良いという結論になります。しかし、その解釈は非常に危険です。

本来は、体脂肪率を元にダイエットを進めていくことで、初めて体へのリスクを軽減させる事ができるのです。体脂肪率を基準に考える事で、痩せるだけではなく、生活習慣病のリスクも大幅に減っていきます。

体重やサイズを基準にしてはならない理由

体重は中身関係無く、体の質量が標準値であれば、問題無しという結論に達します。これが、体脂肪率50%の体型だったとしても、体重を基準にすると、標準体型となってしまいます。これだと、心筋梗塞等の循環器系疾患の発症率が高くなりますし、セルライトの量も増えて体型が崩れます。

そしてサイズですが、これだけを基準に考えるのも非常に危険であり、極端に言えば、肋骨を切除してでもサイズが細ければいいという危険な解釈を招きかねません。骨格は人によって個人差がある為、サイズだけにこだわるのも、かなり無理があります。

【体重・サイズ・体脂肪】それぞれの平均値・見た目特徴について

理想の体重を基準にした場合

体重は、その人の体の組織全ての重量を示したものです。体重計に乗って重さを測定する事で数値が出ます。言うまでも無く、体内に占める脂肪の量、筋肉量、骨の重さ等といった内訳は完全に無視し、純粋に重さだけしか測定されません。

理想の体重をキープしている方の見た目としては、一見中肉中背ですが、体脂肪率が高い等の隠れ肥満が多いという方も少なくはありません。ちなみに、見た目の割に体重が重い人は、脂肪ではなく、筋肉量が多い傾向があります。筋肉は同じ量の脂肪と比べると3倍重いのです。

理想のサイズを基準にした場合

理想のサイズをキープしている場合ですが、こちらはあくまでも見た目でしか判断ができず、実際に体脂肪率が高い方も少なくありません。そして、骨密度が少なくて、骨粗鬆症のリスクを持っている方も散見されます。

ただ、理想の体重にこだわる方に比べると、実際は筋肉量が多く、脂肪が少ない人が多いです。筋肉は同じ量の脂肪と比べて重さが3倍あります。

つまり、筋肉は脂肪の3分の1の量でも同じ重さなので、ダイエットで体重が減らないという方の中には、サイズが減ったというケースが非常に多いのです。理想の体重の値にこだわるよりは、まだマシ、と言っても良いでしょう。

理想の体脂肪率を基準にした場合

理想の体脂肪率を元にダイエットに取り組んだ場合は、脂肪をある程度減らし、筋肉量を増やす必要がある為、その人にとって非常にバランスの取れた体型になります。筋肉は脂肪の重さの3倍ありますので、体脂肪を減らす事に専念するだけで、自然にサイズダウンが図れます。

体脂肪率は、最も美しい体型を維持でき、生活習慣病のリスクが少ないであろうという基準で決められていますので、体脂肪率の理想値や標準値を元にダイエットプランを立てるのが最もベターといえます。

20代~50代女性の体脂肪率の平均・標準・理想値について

20代~30代女性の平均・標準とは?

体脂肪率

  • 痩せ:20代&30代共に20%以下
  • 標準(-):20代&30代共に21%から27%以下  
  • 標準(+):20代 28%から31%以下・30代 28%から34%以下
  • 軽肥満:20代 31%から39%以下・30代 35%から39%以下 
  • 肥満:20代&30代共に40%以上 

まず、20代の体脂肪率の標準値について解説します。標準値は(+)と(-)とがあり、(+)はやや高め、(-)はやや低めとなります。20代女性の標準(-)の体脂肪率は21%から27%以下で、標準(+)の体脂肪率は28%から31%以下となります。これから見ると、標準値は思ったよりも高めといえます。

30代女性の場合も同じく標準(-)の体脂肪率は21%から27%以下になりますが、標準(+)の体脂肪率は28%から34%以下とやや高めとなります。標準値の範囲が広いという事もあり、20代、30代の平均体脂肪率は、この範囲内にあります。ちなみに、肥満の体脂肪率は20代、30代共に40%以上です。

40代~50代女性の平均・標準とは?

体脂肪率

  • 痩せ:40代&50代共に21%以下
  • 標準(-):40代&50代共に22%から28%以下
  • 標準(+):40代&50代共に29%から35%以下
  • 軽肥満:40代&50代共に35%から39%以下
  • 肥満:40代&50代共に40%以上

次に40代~50代の体脂肪率の標準値について解説します。標準値は(+)と(-)とがあり、(+)はやや高め、(-)はやや低めとなります。40代女性と50代女性の標準体脂肪率は同じ値になります。

標準(-)の体脂肪率は22%から28%以下で、標準(+)の体脂肪率は29%から35%以下となります。言うまでも無く、ほとんどの女性がこの標準値の範囲内に位置します。

なお、肥満の体脂肪率は40%以上となります。基礎代謝量が20代や20代に比べるとかなり低下するため、不摂生を続けていると、体脂肪率も肥満の範囲内にいとも簡単に入ってしまう為、注意が必要です。

20代~50代女性の体脂肪率の平均値と理想値について

20代~30代女性の平均・理想値の比較

まず、20代女性の標準(-)の体脂肪率は21%から27%以下で、標準(+)の体脂肪率は28%から31%以下、30代女性は、標準(-)の体脂肪率は21%から27%以下、標準(+)の体脂肪率は28%から34%以下です。

理想の体脂肪率の値については、大よそ20~25%とされています。よって、標準(-)の範囲内の中で低めの値に位置します。モデルやアスリートとなると、平均値10%台の体脂肪率となります。気になる平均値については、標準値の範囲内にある為、標準値を意識するといいでしょう。

ちなみに、男性の理想値が15~20%とされており、15%となると女性だと痩せすぎ、あるいはかなり筋肉が目立つ体型となる為、本格的にスポーツをしているという人以外は、あまり適さない体脂肪率といえます。

40代~50代女性の平均・理想値の比較

40代~50代女性は、20代~30代の女性に比べて基礎代謝量が低下します。基礎代謝量は、寝ている状態、つまり生命を維持するために最低限消費するエネルギーであり、この値が低いと、痩せにくい体になります。40代~50代の標準(-)の体脂肪率は22%から28%以下、標準(+)は29%から35%以下です。

理想の体脂肪率の値については、25%くらいをキープできれば十分といえるでしょう。体脂肪率を理想値にキープするのに、スポーツは効果的ですが、あまり無理をしすぎると、加齢と共に、関節炎のリスクが高まりますので、程々を心掛けていきましょう。

40代~50代女性の平均値も、20代~30代同様に標準値の範囲内にある為、標準値をキープする事を意識するといいでしょう。

各職種の体脂肪率の平均・理想値について

モデルの平均・理想値

モデルの方の体脂肪率ですが、意外にもばらつきがあります。モデルの方は、ボディラインの美しさが重視されたり、スレンダーボディが重宝されたりするので、体脂肪率については、さほど重視されにくいという傾向があります。体脂肪率が低すぎると、筋肉が目立ち、丸みが感じられません。

多少の丸みをキープしなければならない為、体脂肪率は少なくても20%前後位が最も多いようです。もちろん、体脂肪率が高いのは、体型を崩すこともあり、NGです。よってモデルは、アスリート程では無くても、全く体脂肪率を気にしないというわけではありません。

アスリートの平均・理想値

アスリートの方は、そのスポーツの内容にもよりますが、筋肉量は非常に高く、体脂肪率が低いです。ボディビルダーとなると体脂肪率が1ケタが主で、一般のアスリートの場合は、ほとんどの方が体脂肪率が17%以下で、女性らしい丸みというよりは筋肉が目立ち、とても引き締まった体型になります。

また、アスリートの場合は、そのスポーツでよく使う筋肉が発達しており、そのためか体重は標準体重より重いものの体脂肪率は低く、見た目も体重の割には痩せて見えます。

一般女性の平均・理想値

一般女性ですが、過度なダイエットをする方も多い為、見た目の割には体脂肪率が高い傾向があります。体重は標準体重なのに、体脂肪率は30%以上、というのも珍しい話ではありません。いわゆる隠れ肥満という状態です。

一見見て分かる肥満は、自分でも自覚があるので、何らかの取り組みを試みますが、隠れ肥満は、体重は標準値以下だったりするので、自分は大丈夫という油断をしがちです。体脂肪率を最近計測していない、という方はぜひ測ってみて下さい。

平均は約27%位で、理想値については20~25%と言われます。しかし、平均値については、今の女性は極端にダイエットで体脂肪率を減らそうとしている人、外食ばかりする人と両極端である為、実際に平均値に位置する人は少ないというのが現状です。

体脂肪率を標準値にする事で得られるメリットとは?

隠れ肥満の防止になる

体脂肪率をきちんと管理し、標準値を心掛ける事によって、得られるメリットの1つとして、隠れ肥満を防止するという事が挙げられます。隠れ肥満は、体重だけやスリーサイズだけでは分からず、実際に体脂肪率を機械などで測定しなければ分かりません。

最近では、手で握るタイプの体脂肪率測定器もありますので、活用してみるといいですが、体に特殊な電波を当てて測定するため、数値が日によってばらつきがあったり、測定時の姿勢によって数値が大きく異なります。正確に測る場合は、スポーツジム等で専用の機器を使用して測定するといいでしょう。

最もバランスが取れた体型だからである

体脂肪率は、体内に占める脂肪の量がどのくらいの割合であるかというのを数値化したものです。何でもバランスというのは大切で、体脂肪率を適度に管理する事で、脂肪の量が体の割に多いから、運動や規則正しい食事を心掛けなければならないなど、日頃から健康に対する意識付けがしやすくなります。

こまめにチェックする事で、嫌でも自覚が芽生えて、行動が変わってきます。体脂肪率を管理する事で、脂肪の量と筋肉の量のバランスを意識した生活を心掛けていける為、最もその人にとって理想的な体型を維持していくことができるのです。