あなたは今、幸せですか? こう問いかけて「YES!」と即答できる人がどれだけいるでしょうか。周囲を見渡しても浮かない表情をした人ばかり。そんな中で「私にとっての“幸せ”は、とてもシンプルです」と満面の笑みで語るのは、『「なりたい自分」になるシンプルなルール』(幻冬舎)の著者、福田萌子さん。AmazonPrimeVideo配信の『バチェロレッテ・ジャパン』にて初代バチェロレッテを努めたことで、一躍有名になりました。

 モデル、スポーツトラベラー、トレーナーとして、華々しく活動する福田さんですが、以前は自己肯定感が得られず、泣くことも多かったと言います。そんな福田さんが変わったのは、小さなきっかけの積み重ねなのです。幸せになるヒントを、そっとおしえてもらいませんか。

◆まずは自分のことを知り尽くす

 幸せになりたいというのは、万人の願いです。でも、誰かの幸せがそのままあなたの幸せに当てはまるかといえば、そうではありません。「自分を好きになり、自己肯定感を得るためには、まず自分自身を理解する必要があります」と本書。たとえば、「あなたは、なにをしているときによろこびを感じますか」「どんなことで落ち込み、どういうときにイライラしますか」等々、自分で自分にインタビューしてみるのです。

「自分と向き合うことは、自己肯定感を上げるための大事なステップ」と本書。客観的に自分を見つめ、理解していけば、自分なりの価値観がわかりますよね。すると、他人の価値観に振り回されず、心も疲れずに済むと、本書は伝えているのです。

◆自分自身が整えば、好かれなくても大丈夫

自分自身が整えば、好かれなくても大丈夫
 嫌われるのがこわい。孤独になるのはいや。幸せを望むのと同じくらい、このような恐れを抱く人がいるかもしれません。特に日本人はその傾向が強く、率直な意見を言わない人もいます。場を取り繕うために、あえて意見を飲み込むのも時には必要。でも結果的に、あなたの中でモヤモヤがくすぶり続けたとしたら。あなたの態度を察して、相手もモヤモヤしているとしたらどうでしょう。

「仕事関係の人にも、友人やパートナーにも、思ったことはきちんと言葉で伝えるようにしている」というのが、福田さんのポリシー。なぜなら「言葉にしないのは逃げにつながり、相手を信用していない証拠」だと考えるからです。

 自分を封印し、万人に好かれたとしても、きっと苦しくなるはず。自分の正直な気持ちを誠心誠意伝え、嫌われてしまったとしたら、それはそれまでの縁。むしろ自分を尊重できた自分を誇るべきだと、私も思います。自分に嘘をつくほうが、よほどつらいのですから。

◆無理して合わせても、自分のためにはならない

 今でこそ自分チョイスの幸せを謳歌する福田さんですが、子どもの頃は人間関係に悩んだそうです。沖縄という歴史的に複雑な事情を持つ地に生まれ、しかもご両親は沖縄の出身ではありません。独特な隔たりがある中で、仲間外れにされないよう、幼い福田さんには周囲の顔色をうかがう癖がつきました。

無理して合わせても、自分のためにはならない
写真はイメージです。
 子供の世界にも社会性があり、自然と自分を守る術を身につけるものです。同級生達にとけこむように、合わない話にも笑って合槌を打っていた福田さん。そんな福田さんに転機が訪れたのは、高校一年生のときでした。

 仲のよかった友人に、別の友人のことを相談したら、後日「萌子が誰々さんの悪口を言っていた」と暴露されたのです。よくある話といえばよくある話です。しかし福田さんは「無理してみんなに合わせても、自分のためにはならない」と、この1件で学んだのです。

◆「こうあるべき」という呪縛からの解放

 仕事や肩書きなどから、私達は「こうあるべき」の呪縛にとらわれてしまいがち。20代後半だった福田さんも、「モデルはガリガリに痩せているべき」「肌は真っ白であるべき」というイメージにがんじがらめになっていました。

 100gの体重変動に一喜一憂し、食べる量を減らし、筋肉をつけないために運動もシャットアウト。健康的で溌溂とした今の福田さんからは想像もつきません。福田さんご自身も当時の自分を、「ちっともカッコよくありません。細いけど、ただそれだけ」とバッサリ。自分らしさがかけらもない姿には、内側から湧き出るエネルギーや輝きがないのでしょう。

 本当の美しさは、「自分らしさ」。「こうあるべき」ではなく、「これがしたい」と心の底から願い、動き、手に入れることです。「なぜなら、私の人生は、私のものだから」。力強く、福田さんは断言するのです。

 万人に好かれなくても、社会のセオリーからはみ出ていても、自分の意思をつらぬいていく。あなたの人生は、あなたがつくるのです。あなたの幸せは、あなただけのオーダーメイド。

 そんな大切な気づきをくれる本書。読み終えたとき、あなたも満面の笑顔になっているに違いありません。

<文/森美樹>

【森美樹】

1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx