中学生の息子が、親の不倫に向き合う気持ち

 そんな中で、きらっと光ったのが忍と洋平の息子・悠太(田代輝)だ。父親から母親の不貞を吹き込まれてもむやみに信じない。すり寄ってくる父に「オレを味方につけたと思ってる?」と軽くいなし、謝る母親には「キモいんだけど、親の恋愛とか不倫とか」と面と向かって言い切る。でも悠太がいちばん大事と言った母に、さらに「そういうのやめてほしい。オレはどうすればいいんだよ」と告げる。

 自分の行動を決められない大人に、「子どもがいるからという言い訳はやめろ」「子どもに責任をなすりつけるな」という声が聞こえてくるようだ。大人としては、子どもへの責任があるのだから自分の欲求を通すわけにはいかないと思うのが当然だ。だが、それを子どもたちは嫌う。自分がいなければ親は好きな道を選択できたはず、自分がいたから親の人生を邪魔したと思い込んで傷つく子もいる。

 大人には大人の、子どもには子どもの言い分があるのだと改めて感じ入った。

 悠太は「おかあさんの好きなようにすればいい」と言う。ときとして、子どもは大人より大人なのだ。