山口紗弥加と板垣李光人の“年の差ラブストーリー”『シジュウカラ』(テレビ東京系)が、急展開を迎えています。坂井恵理の原作漫画とともに話題のドラマを、夫婦関係・不倫について著書多数の亀山早苗さんが読み解きます(以下、亀山さんの寄稿)。

【前回記事】⇒「男の浮気と女の浮気は違うんだよ!」と怒鳴ったモラハラ夫の、実は不安な胸中|ドラマ『シジュウカラ』

“やさぐれた母親”酒井若菜の壊れっぷりが見事

 ドラマ『シジュウカラ』は、第5・6話で大きな展開を見せた。「40歳で母で、妻」の忍(山口紗弥加)は、18歳年下の千秋(板垣李光人)に別れを突きつける。

 千秋の求めに応じて駆け落ちまがいの一泊旅行をした忍。だがその帰り道、車から降りるところを千秋の母・冬子(酒井若菜)が見ていた。彼女は、自分のかつての不倫相手で、最近、また経営しているスナックにやってくるようになった洋平(宮崎吐夢)の妻が忍だと気づく。そして息子が忍に惹かれていることも……。

 この酒井若菜の壊れっぷりがすごい。やさぐれていて自ら世の中からはずれていったような風情で、子育てもまともにしなかった感じなのに、ときどき名言を吐くのだ。息子が体を売っていたことを「あたしは知ってたよー」と告げたあと、「大人をなめんなよ」と息子に軽くすごむシーン。そして、息子が「その金を使っていたじゃないか」と責められると、「だって、あんたが稼いでくれちゃうんだもん」としれっと言う。さらに「でも続かないっしょ、体売るとか媚び売るとか」と正論を吐く。

 店にやってきた洋平には、「うちの息子、こんなに大きくなったんだよ」と写真をわざわざ見せる。洋平はそのときまで、妻の漫画のアシスタントにやってきた千秋が、冬子の息子だとは知らなかったのだ。

 冬子はどうでもいいような感じで、「変わんないね、あんたもあたしも」と投げ出すように言う。冬子は洋平の「ダメ男っぷり」に昔から気づいていたのかもしれない。見栄っ張りで自分を大きく見せたくて、そのくせ寂しがりやで、だからこそ女を支配したがる、そんなダメっぷりに……。