6.生存バイアスを生活にどう活かすか?
投資の勧誘や親によるアーティストへの強引な誘導などの生存バイアスは、理解できたことでしょう。
つまり、生存バイアスは、成功例を鵜呑みにして間違った行動を起こしてしまうことを言います。
では、どのようにして生存バイアスを実生活に応用していけばいいのでしょうか。
まずは、統計や確率など客観的なデータを見ることです。ニュースやインターネットの情報をそのまま吸収してはいけません。
自分でも考えるように頭を働かせるのです。
- 生存バイアスを元に宝くじを買う
例えば、銀座の宝くじ売り場で「宝くじの一等が出た」というニュースが流れたとします。
一攫千金を夢見る購入者は少しでも確率を上げようと銀座の宝くじ売り場に行列を作って、宝くじを購入します。ひどいときは2時間待ちということもあります。
冷静に考えてみれば、銀座は日本でも人通りの最も多い場所の一つです。宝くじを購入する人も必然的に多くなります。
確率論でいけば、購入者の数が多いので一等の出る可能性も高くなります。
しかし、それはあなたが一等を出す確率ではありません。銀座の宝くじ売り場全体で一等が出る確率です。
あなたが一等を出す確率は、どこで買っても同じです。
銀座まで電車やタクシーで行って宝くじを買うならば、その交通費で余計に宝くじを買った方が確率が上がります。
- 生存バイアスと的確な情報の違い
親によるアーティストへの強引な誘導は、生存バイアスによるものだと例示しましたが、それが全ての親子に当てはまるわけではありません。
客観的な見方をして、自分の娘にアーティストとしての才能があれば、それを助けるべきです。決して強制してはいけません。自発的に行動するのにまかせるのです。
親は提案をするだけで、あとは子どもに任せます。子どもに自分の考えを押し付けようとするから、子どもは反発するのです。
客観的な見方は親では難しいですが、アイドルグループのオーディションなどに参加してみるのがいいでしょう。
オーディションで最終選考まで残れば、可能性はあります。
なぜなら、最終選考までいくと、応募者側のレベルは、相当に高いものです。
あとは、運と選考委員の好みによるものでしょう。
- スマホにも生存バイアスが!?
スマホにも生存バイアスは応用できます。
日本の2017年第一四半期のスマホのシェア(IDC Japan調べ)は、Apple(iPhone)が50パーセントを占めています。
日本のユーザーは世界的に見て、iPhoneのシェアが非常に高いという特徴があります。
iPhoneは値段が他のスマホと比べて高いのに、どうして半分もシェアをとっているのでしょうか。
これも、生存バイアスで説明できます。
iPhoneは値段が高いものの性能が優れています。また、優れたアプリも多いです。
実際に画面をタップしたときの感度は優れていますし、自社でアプリの承認審査をしていますので、iPhoneの画面解像度に適した基準をアプリ制作会社に要求することができます。
そのため、Android製品(京セラやソニーなど)に比べると見た目もキレイです。スマホの価格が高いので当然と言えば当然です。
- Android製品もそこそこいい
iPhoneほどでないにしろ、そこそこの性能を持ったAndroid製品も販売されています。しかも、iPhoneの半分ほどの値段で変えたりします。
しかし、ドコモ、au、ソフトバンクのキャリア全てがiPhoneを扱っている日本では、圧倒的にiPhoneが購入されやすくなります。
これが生存バイアスです。
実際にiPhoneには追加で容量を増やせなかったり、SIMカードは1つしか入れられないなどの欠点もあります。また、iPhoneの初期ロットは不具合が出やすいです。
ところが、生存バイアスによってiPhoneでなければ、スマホではないような風潮が日本にあり、多くのスマホユーザーが大金をはたいて、iPhoneを購入しています。