現代病ともいえる首、肩、腰等のコリや痛み。整形外科やマッサージなどに通っても効果を感じられず、慢性化している人も多いはず。私もそんな一人で、運動やストレッチなどを行うことで長年の痛みをごまかしていました。
ところが“「筋膜リリース注射」を打てば、頑固な痛みも打ってすぐに解消できる”という噂を聞いたら、打たないわけにはいきません!
そもそも筋膜リリースって?
筋膜リリース注射を打つために伺ったのは、都内千代田区にあるナグモクリニック東京。女性の胸にまつわる病気やお悩みの解決を得意とするクリニックです。
ナグモクリニック東京 南雲吉祥(なぐもよしあき)医師
「効果が得やすい」「即効性がある」ということですが、そもそも筋膜リリース注射とは、どのようなものでしょうか? その疑問に理事長の南雲吉祥(なぐもよしあき)医師が答えてくれました。
「私たちの筋肉の表面には薄くて透明なフィルム状の膜があります。これを筋膜といいます。鶏肉を調理するときに表面を触ると、滑りやすい膜がありますよね? あれが筋膜です
筋膜と筋肉の間には、通常はある程度の隙間と、それによる可動性(かどうせい)があります。ところがケガや姿勢の悪さなどが原因で筋肉の中で炎症を起きる。やがて炎症物質が周囲に飛び火していくんですね。それが筋肉と筋膜の間に溜まると、筋膜にも炎症が伝わります」(南雲先生、以下同)
私たちを悩ませるコリや痛みには、そんなメカニズムがあったんですね。それで、注射はどこに打つのでしょうか?
「その筋膜と筋肉の間に注射で生理食塩水を注入します。これによって筋肉から筋膜がはがれて元の状態に戻る。さらに生理食塩水が溜まっていた炎症物質を洗い流すので、筋肉の滑りも良くなります」
腰への筋膜リリース注射
麻酔薬でも入れるのかと誤解していましたが、まさかの水! 注射自体は特別痛いものではないそうですが、筋膜がはがれている瞬間はかなりの痛みがあるとのこと。
特に炎症が長引いている人ほど強い痛みがあるそうで、注射による痛みだけを我慢すればいいと思っていた私は緊張モードに。
一度に10本以上打ったツワモノもいる
「原則として生理食塩水自体による副作用はほとんどなく、幅広い年齢層に適用できます。当然、ドーピングの検査対象にもならないので、アスリートの急性期の肉離れのような炎症にも使うことが可能です」
まるで魔法のような治療法ですが、「原則」副作用がほとんどないというのが引っかかる……。
「注射を打つという行為による合併症の懸念はありますね。中でも一番注意しなければいけないのが迷走神経反射による体調不良です」
注射の痛みや緊張から自律神経が乱れ、失神したり、めまいや吐き気などを起こしたりすることだそうです。実は私、親知らずを抜いたときにその迷走神経反射が起こり、治療後も診察台を占領し続けたという苦い経験があるのです……。
話を聞いているだけで白目を向いてしまいそうですが、
「それを防ぐために5、6本くらいに抑えておいたほうがいいと私は思っていますが、本当に強い方には一度に10本以上打ったこともあります」
というツワモノのエピソードを聞き仰天! 私なんてゾンビ化しちゃいそう……! たいていは2本から4本、左右の肩と肩甲骨に打つことが多いそうです。
ところで、整形外科などで行われるトリガーポイント注射とは何が違うのでしょう?
「炎症が伝わったことによって筋膜が厚くふくらんだ箇所をトリガーポイントといいます。そこに局所麻酔を打つことで痛みを取る治療ですが、これだけだと根本的な解決にはなってないんですよね」
なるほど!「注射を打つ」という行為自体は同じでも、アプローチが原因か症状かという違いがあるんですね。