自分のバランスを保つため、相手へ言葉の刃を向ける

 健康な心身を保つために日々努力している人の口からは、悪口は出てこないはずです。なぜなら、否定的な言葉は自らの心身も切り刻むため、長期的にはあらゆる面で悪い影響しか与えないことを体感として知っているからです。そもそも、そうした否定的な言葉自体が沸きにくい心の状態になっているということもあるでしょう。

ネットで誹謗中傷する人たちは、声にならない”痛み”を抱えている
(画像=『女子SPA!』より引用)

 ネット社会の中で悪口や罵詈雑言を言い続ける人は、どうやら自分のバランスを保つため、相手へ言葉の刃を向けているように感じます。その悪口や誹謗中傷で感じる快楽を、間違った自己治療のようにしていることが問題なのです。

 自分が言われたくない急所をよく知っている被害者だからこそ、相手の急所に狙いを絞って迷わずガブリとかみつくこともできるというわけです。

“自己否定の毒”が自分を少しずつ蝕んでいく

 加害者となっている人はたいてい過去の被害者でもあることも多く、その復讐として行っている場合があります。そうした悪い因果の鎖は、誰かがどこかの時点できっぱりと断ち切る必要があります。

 相手への言葉の刃は、自分をも切り裂みます。それはなぜでしょうか。相手への悪口と、そこからわき起こる怒りや恨みなどの「負の感情」は、他者に向けられているものか自分に向けられているものか自分の脳は判別できません。そのため、“自己否定の毒”として少しずつ自分を蝕んでいくからです。

 相手を汚くののしる、心ない言葉。情報化社会となったことで、これまで個人レベルで抑えこまれていたものが外界へも溢れるようになってしまいました。わたしたちはよくも悪くも他者からの影響を受けます。ただ、そこに込められた呪詛に影響を受けないように細心の注意を払いながら、相手の言葉の背景に潜むものを冷静に観察してみると、いろいろと発見もあり対策も打てると思います。