この記事は中野晴啓氏の著書『普通の会社員が一生安心して過ごすためのお金の増やし方』の内容を抜粋したものになります。
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※以下、書籍より抜粋
買っていい投資信託はわずかしかない
国内で設定・運用されている投資信託の本数は、2017年8月末時点で6146本です。この本数を見ただけで、「この中から自分で探せなんて無理だ」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
今まで、多くの個人が自分で投資信託を選ぶことをせず、すべてを販売金融機関任せにしたことが、さまざまなところで歪みになって表れてきました。
投資信託が高コスト商品になり、長期投資には合わない毎月分配型ファンドに多額の個人マネーが流れ込み、通貨選択型ファンドのような複雑怪奇な商品設計を持ったファンドが誕生し、手を変え品を変え、さまざまなテーマ型ファンドが新規設定されてきたのは、ひとえに投資信託という金融商品が、販売金融機関の手数料稼ぎを目的にして、粗製乱造されてきたからです。
販売金融機関の側からすれば、どうせ売るなら、より多くの販売手数料が得られるよう、できるだけ高い販売手数料の投資信託を中心に売るようになりますし、商品をつくる投資信託運用会社の側も、少しでもたくさんの額を販売してもらうためには、販売手数料などのコストを高めにして、販売金融機関の売る気に火をつける必要があります。こうして、販売手数料や信託報酬のうち、販売金融機関が受け取る代行手数料の部分は、どんどん分厚くなっていきました。
販売金融機関の「売らんかな」の姿勢が、投資信託を歪んだものにしてしまったのは自明のことであり、現在の金融庁は、投資信託改革を積極的に推し進めようとしています。
販売金融機関の言いなりにならないようにするためにも、自分がどういう投資信託で運用したいのかを、明確にしておく必要があります。
それは、長期の資産形成に適した投資信託をピックアップするというよりも、どちらかというと「使えない投資信託」をバサバサと切っていく作業になります。そのくらい、実は長期の資産形成に不向きな投資信託が、多数設定・運用されているのです。
6146本ある投資信託から何を選ぶか
投資信託という箱の中に日本株を入れれば、日本株ファンドになりますし、米国債券を入れれば米国債券ファンドになります。つまり、投資信託はある意味「仕組み」であって、その仕組みに、どのような投資対象を掛け合わせるかによって、多種多様な投資信託が組成されるのです。
投資対象だけで投資信託の種類を挙げると、日本株式ファンド、米国債券ファンド、グローバル債券ファンド、豪州REITファンド、ゴールドファンド、コモディティファンドというように、まさに多種多様です。恐らく投資信託を通じてアクセスできないマーケットはないのではないかと思えるくらい、さまざまな投資信託があります。
その中から、何をどう選べばいいか。
まず基本として、ひとつ考えていただきたいのは、
- 自分の持っていない資産を選ぶ
- 特定の資産に投資するファンドは購入対象から外す ということです。