この記事は中野晴啓氏の著書『普通の会社員が一生安心して過ごすためのお金の増やし方』の内容を抜粋したものになります。

前回の記事はこちら
株の短期トレードはなぜ「普通の人」には向かないのか?
定期預金のデメリットは「利率が低い」だけではない
貯まってからでは遅い?資産運用を早く始めた方が良い理由

※以下、書籍より抜粋

意味のない金融商品はやめる

それなりの金利がついた時代には、財形貯蓄が重宝されていた時代もありましたが、財形をやる気があるんだったら、そのお金は、今すぐ全部積立長期投資にシフトしたほうがよいでしょう。これは断言します。利回りを見ても預金と一緒なのに、しかも下ろせないですから、何のメリットもありません。

また会社でよくあるのは、持ち株会の制度でしょう。

これは、奨励金をつけてくれるという点で、お得な部分もあります。

ただし、「自分がいる会社だから」という合理性を欠いた理由で購入するのはやめ、やるとしても最低限にしておくほうが得策でしょう。

それに会社が倒産などすれば、いきなり会社はなくなるわ、持ち株で積み立てたお金もゼロになるわで、二重遭難です。分散ということを考えれば、よい選択とは思えません。

生命保険は最低限でいい

まず、住宅ローンを支払っている人は、不要です。住宅をローンで買うと、団体信用生命保険に入ることになり、途中で死亡した場合は、団体信用生命保険が残りの住宅ローンを支払ってくれる仕組みになっています。もしそこでどうしてもお金が必要になれば、その家を売却してお金を手に入れることができます。結局、生命保険に入っているのと同じことですので、入る必要はありません。

1000万円、3000万円という商品も多いですが、本当にそれだけ必要でしょうか?

確かに、子どもが小さいうちに自分が死亡したら、何年かは食べていけるような保障はあっていいでしょう。それでも500万円くらいあれば、十分でしょう。500万円の死亡保障の掛け捨てであれば、ネット保険に入れば驚くほど安くなるはずです。

そんなふうに見直しをして3000万円の保険を500万円にしただけで、5万円程度の捻出は可能ではないでしょうか。

会社の401kを放っておいてはいけない

注意をしていただきたい金融商品について、ここで触れておきたいと思います。

会社で、退職金代わりに401kを社員に運用させているケースも多いと思います。

実はこれ、ぜひ一度見直していただきたいパターンなのです。

特に大企業で働いていた場合、途中で確定給付年金から確定拠出年金(401k)に移っています。

確定給付年金を簡単に説明すると、社員の一人ひとりが、20歳で入って60歳になるまでの40年間、会社が年金機構に託して、運用して殖やして渡すという制度です。それが退職金の一部になっていました。だから会社が退職金のために拠出しているお金は、実際に支払われる退職金より少ないのです。40年間の運用で殖える前提で、確定給付の利回り3~4%が入ることを前提にして、その残りのわずかな部分を拠出していたのです。

それを途中でやめて、「はい、これがあなたの分ですから、自分で運用してください」というのが、確定拠出年金(401k)です。

ここで注意したいのは、確定給付で会社が運用していたものが確定拠出になった時に、一旦預金になっているわけです。それを預金のままにしておいたら、利率がゼロに近いままでしょう?

そのまま0%にしておいたら、自分がイメージしている退職金額にははるかに及ばない、わずかなお金のままで止まってしまいます。

確定拠出年金には、個人型確定拠出年金制度iDeCoといった商品もありますので、組み合わせて考えることが必要です。