名探偵シャーロック・ホームズの物語を現代に翻案し、ディーン・フジオカ扮する誉獅子雄がエキセントリックな名推理をする月9ドラマ『シャーロック』(2019年)。その劇場版である『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』が、2022年6月17日(金)より全国で公開される。

岩田剛典、俳優としての悩みを明かす「セルフイメージを捨て去ることは難しい」
(画像=『女子SPA!』より引用)

岩田剛典さん

 ホームズにとってかけがえのないバディであるワトソンを、元精神科医・若宮潤一として演じるのが、「EXILE」や「三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」(以下、「三代目JSB」)のパフォーマーとして活躍する岩田剛典だ。『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(2016年)での映画初主演以来、役柄を超えて生々しく、リアルな表情をスクリーン上に浮かび上がらせている。

 今回は、「LDHと映画」をこよなく愛する筆者にとって“待望”の岩田剛典さんにインタビューを行った。令和版ワトソンである若宮役の役回りや、劇場版ならではの世界観の他、セルフイメージに悩み、考え続ける岩田さんの等身大の「俳優論」について聞いた。

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「日本でシャーロックを脚色する枠組み」の中で

岩田剛典、俳優としての悩みを明かす「セルフイメージを捨て去ることは難しい」
(画像=『女子SPA!』より引用)

Ⓒ2022「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」製作委員会

――劇場版は、ドラマ版とはまったく違う雰囲気に驚きながらも、映画ならではの作品世界にどんどん引き込まれていきました。久しぶりに若宮役を演じてどうでしたか?

岩田剛典(以下、岩田):久しぶりにシャーロックの世界観に飛び込めると思うと、すごく楽しみでした。TVドラマに引き続いての劇場版なので、よりクオリティの高いものを、ファンのみなさんにお届け出来るように頑張りました。

――コーヒーをざばっとこぼす場面で、毎回若宮が「熱い」という台詞を言うのがお好きだと聞きました。ちょっと抜けてる感じが若宮の魅力だと思いますが、岩田さんは若宮をどんな人物だと思いますか?

岩田:一番身近な存在です。ディーンさん演じる超人のような獅子雄がいて、それを視聴者(観客)に説明する若宮がいる図式があります。劇場版では、より抜けていたり、どじなキャラクター性が強調されていると思います。

――コナン・ドイルの原作に登場するワトソンと比べてみるのも面白いです。

岩田:原作とは、だいぶ違うと思うんですが(笑)。

――令和版ワトソンですもんね。

岩田:ホームズとワトソンがバディで事件を解決していくという大軸は、もちろん変えていません。映画のテイストとして、日本でシャーロックを脚色する枠組みが基本にあります。若宮は、その基本的なところだけ外さなければ、意外と遊べるキャラクターでした。

「リモート・バディのような雰囲気」の獅子雄と若宮

岩田剛典、俳優としての悩みを明かす「セルフイメージを捨て去ることは難しい」
(画像=『女子SPA!』より引用)

――『バスカヴィル家の犬』は、「最後の事件」以前の設定であるとは言え、ホームズ再登場として有名な作品です。映画版では時系列が異なりますが、ドラマ版で黒幕の守谷と海に飛び込んだ獅子雄とまた以前のように推理が出来ることを、若宮の気持ちになって考えるとどうですか?

岩田:獅子雄が帰ってきてくれて素直に嬉しいです。ドラマ版での物語からどのくらいの月日があったのかは想像するしかありませんが、相変わらず仲良くやってるんだなと、脚本を読んで思いました。

――ディーンさんとは、劇場版では、どんなふうに関係性を見せようかと相談しましたか?

岩田:今回は、特に後半以外は共演場面が少なく、電話越しでの会話などが多かったので、リモート・バディのような雰囲気です。

――監督からは何かアドバイスがありましたか?

岩田:監督からは、とにかく若宮の冒険だと言われました。

――原作自体がワトソン視点で、劇場版は原作に近くなったのかと思います。

岩田:ドラマ版のように待ちの若宮ではなく、みずから動く若宮の成長が見られる作品です。

――ドラマ版では、獅子雄と若宮のブロマンスが緻密に繊細に描かれていますが、劇場版では、そうした関係性は前提としながらも、若宮が違うベクトルへ感情を高ぶらせていきます。若宮には、誰かを守りたいという気持ちが強いです。劇場版では、新木優子さん演じる紅への気持ちなど、若宮が持つ愛情についてどう思いますか?

岩田:若宮は、もともと精神科医なので、人の気持ちに寄り添う人間です。人の気持ちを想像したりする、繊細な一面が根底にあるんだと思います。正義感が強く、愛情深いです。