子育てをしていると必ず訪れる9歳の壁。以前は発達障害のある子供が、学習面や言語面で困難にぶつかることを指していましたが、今はどの子供にも訪れるものと認識されています。子供が9歳の壁を乗り越えるために、保護者ができることを7つお伝えします。

9歳の壁とは?乗り越えるために保護者ができることは?

9歳という年齢は、子供たちが大きな転換期を迎える時期です。誰もが9歳で直面する様々な問題のことを、「9歳の壁」と呼ぶのです。

心理学では「自分以外の人」を認識し始める時期と言われており、それによって子供たちは大きな不安や心理的ストレスにさらされ、保護者からすると、「うちの子、発達障害かしら?」と疑ってしまうことも…。

実際のところ、発達障害でない子供でも、この9歳の壁はほぼ必ず経験することです。その過程において、「育て方が悪い?公文式に行かせた方がいい?」など、子育てに自信をなくす保護者もいるかもしれません。

壁は乗り換えることができれば、生涯に渡って大きな自信になります。この記事では、9歳の壁にぶつかる理由や心理、具体例、そして保護者が壁を乗り越えるためにできることをお伝えしていきます。

9歳の壁とは?乗り越えるために保護者ができること7選!
(画像=『Lovely』より引用)

9歳の壁にぶつかる理由や心理1【抽象的思考が育ち始める】

9歳は小学校3年もしくは4年に当たる年齢です。この時期は子供の成長の節目と言われており、学習面や運動面で心理的に様々な変化が起こります。

たとえば、小学校1年生・2年生の時の算数は、学校や公文式でも、「足す・引く」「九九を覚える」といった、目で見てわかる具体例が多いものでした。

しかし、学校でも公文学習でも、3年生からは「分数の計算」「小数点」など、普段の生活ではなじみがない抽象的思考を必要とする学習へと進みます。

こうした学習環境の変化は心理的にも変化をもたらします。それと同時に抽象的思考も育ち始めるとされているのです。

9歳の壁にぶつかる理由や心理2【自分を客観視し始める】

ひと昔前であれば、近所にはおじいちゃんおばあちゃん、兄弟姉妹、同年代の子供たちがいて、そうした人たちとコミュニケーションしながら、他者と共存する能力を自然に高めることができました。

地域全体で子育てを行っていたようなものです。

ですが、現代の子供たちは核家族が増えてきたこともあって、まわりの人とコミュニケーションをとって、自分を客観視する機会が減ってきました。

コミュニケーション能力を鍛える具体例がなくなってきているのです。

それゆえ9歳で自分を客観視し始めても、どこか孤独を感じ、ひきこもりや発達障害の子供を生み出すきっかけになってしまうのです。

9歳の壁にぶつかる理由や心理3【ギャングエイジ】

発達心理学では、9歳頃の子供の特徴を挙げる言葉に「ギャングエイジ」があります。

ギャングエイジとは、親や教師など、まわりの大人から一線を画し、子供同士で徒党を組んで社会を形成していくことを指します。

この友達同士の徒党は、決まったメンバーであるため、独自のルールがどんどん出来上がって、閉鎖性が強くなっていきます。

子供とは言え、それなりにトラブルも起こります。喧嘩やぶつかり合いを繰り返しながら、社会性や道徳観念を身につけて行ける大切な時期と言えます。