「離婚」と聞くと、双方が弁護士を立てて争うイメージがあるかもしれませんが、大多数の離婚は夫婦間の話し合いによるものです。お互いが感情的にならず冷静に話し合え、離婚に際しての条件合意がスムースに進むなら、当事者同士の話し合いでも問題は起こりません。

ただ。婚姻関係とその解消は複雑で、揉めずに不備なく後々の面倒も起こさないように解決するのが難しい点も。話し合いによる離婚、どこに気をつけたらいいのか?ポイントを整理してみましょう。

離婚の大多数は「話し合い」により成立

(写真=gerasimov_foto_174/Shutterstock.com)

離婚の種類とその内訳

離婚はそのやり方によって、大きく次の3つに分かれます。

・協議離婚
当事者である夫婦間の話し合いによって決まる離婚です。役所に離婚届を出すと成立します。

・調停離婚
夫婦間での合意が難しい時、家庭裁判所に間に入ってもらうやり方です。調停委員という第三者を介して話し合いを行い、弁護士に代理人として同席してもらうこともできます。合意ができたら調停調書という書面を作成し、離婚成立です。

・審判・裁判離婚
調停がどうしてもまとまらなかった時、家庭裁判所が職権で審判を行うことや、当事者が裁判の訴えを起こして判決を求めることもできます。ただし「調停前置主義」と言って、まずは調停で当事者同士の合意を目指し、それができなかった場合にのみ、裁判所の判断に委ねることになっています。

現在の日本では、離婚の8割以上を協議離婚が占めます。調停離婚は約1割、審判や裁判の判決に進むのは、全体の1%ちょっとといったところです。(厚生労働省『人口動態統計』2017年)

協議離婚とはどのような離婚か

協議離婚は、手続き上は非常に簡単な離婚です。夫婦間で離婚の合意ができたら、婚姻中の本籍地か届け出時の住所地の市区町村役場に離婚届を提出します。それ以外の市区町村役場に提出する場合は、戸籍謄本を1通添付します。

離婚届には夫と妻がそれぞれ自分で署名し、印鑑を押します。そのほか2人の証人の署名押印も必要です。証人は当事者以外の成人であれば誰でもよく、妻側と夫側から1名ずつ立てる必要もありません。

未成年の子がいる場合は、離婚届に親権者の記載をしなければなりません。また、結婚前の氏に戻る方は、離婚後新たな戸籍を作るか元の戸籍に戻るかを決める必要があるので、その点についても記載します。

逆にいえば、協議離婚の成立はそれだけで事足ります。管轄役所は上記以外の点、たとえば夫婦間でどういった取り決めをしたのか、書類を取り交わしたのかなどには一切関与しません。ですので、協議離婚で気をつけるべき点は、まさにそこにあるといえるのです。