医療保険を比較検討する際、何から考えればいいのかわからない、という人は意外に多い。保険会社のネームバリューやCMのイメージ、商品の新しさなどで保険を選んでいる人も少なくないのではないだろうか。医療保険は、医療費や逸失利益を補填するうえで重要な役割を担うものである。ゆえにこれを比較検討する際は、複数のポイントについて丁寧に確認するようにしたい。

ポイント1 主契約 入院給付日額はどう決める?

「入院1日〇〇円」といった形で表記される、入院給付金。これは、医療保険における主契約にあたるものだ。例えば「入院給付日額1万円」という医療保険に加入した場合、入院1日につき1万円が支払われる。またほとんどの医療保険では手術をした場合にも給付金が支払われるが、その額は「入院給付日額×〇倍」といった形で、主契約の保険金額に一定の倍率をかけて算出されることがある。そのため医療保険を比較検討する場合、まずはその入院給付日額について慎重に考えることが大切だ。

必要十分な入院給付日額をシミュレーション

病気やケガで入院した場合に1日どのくらいの費用がかかるのか、具体的にシミュレーションしてみる。

日本には「高額療養費制度」があり、69歳以下の人の医療費自己負担額の上限(歴月単位)は、収入に応じて以下のようになっている。

  • 年収約1,160万円……25万2,600円+(医療費-84万2,000円)×1%
  • 年収約770~約1,160万円……16万7,400円+(医療費-55万8,000円)×1%
  • 年収約370~約770万円……8万100円+(医療費-26万7,000円)×1%
  • 年収約370万円まで……5万7,600円
  • 住民税非課税者……3万5,400円 例えば、年収700万円の人が30日間入院し200万円の医療費がかかった場合、高額療養費制度を使うと1か月の自己負担額は9万7,430円、1日あたりの自己負担額は約3,250円となる。

    ただし、高額療養費制度の対象となるのは保険適用される診療にかかる費用についてであり、差額ベッド代や食費、交通費、日用品費などは含まれない。事実、生命保険文化センターが発表した『平成28年度生活保障に関する調査』によると、入院時の1日あたりの自己負担費用は1万~1万5,000円の人が24.5%と最も多く、2~3万円未満の人が14.1%、7,000~1万円未満の人が13.7%となっている。また、同資料では入院時の逸失収入の有無に関する調査も行われており、21.8%の人が「逸失収入があった」と回答している。

    入院給付日額について考える場合はまず、自分が入院した場合にどのくらいの費用がかかるのか、逸失利益はあるのか、ある場合はどのくらいの額になるのか、といったことを具体的にシミュレーションしてみるといいだろう。

    入院給付日額を細かく設定できる保険会社もある

    医療保険のパンフレットやCMでは、入院給付日額を5,000円もしくは1万円に設定していることが多い。ただし生命保険会社によっては、1,000円単位で入院給付日額を設定できる場合がある。

    当然だが、医療保険の保険料は入院給付日額が増えれば増えるほど高くなる。家計への負担を抑えつつ必要十分な保障を得るならば、入院給付日額を細かく設定できる商品を選択するのも一つの手段であろう。