子供の頃、読者のみなさんはどんな職業に憧れただろうか? 筆者は幼少期にはバスの運転手さんに憧れ、小学生時代はプロ野球選手を目指したものだ。だが、時は流れて21世紀の現在、子供たちの憧れの職業として赤丸上昇中なのが「YouTuber」である。何しろ、トップクラスのYouTuberは億単位の年収を稼ぐというから驚きだ。

ところで、株式市場では昨年、UUUM <3990> という会社が上場して話題を呼んだ。実はこのUUUM(※ウームと読む)は、日本のYouTuberの中でもスーパースターと呼ぶべき存在であるHIKAKINがファウンダー・最高顧問に名を連ねる会社なのだ。

「うーむ、おじさんでもYouTuberで稼げるかしら?」と思わずダジャレを言いたくなる気持ちを抑えつつ、今回は新しいビジネスモデルに挑戦するUUUMの魅力に迫ってみよう。

個人がメディアを運営し、稼ぐ時代に

念のためにYouTuberについて解説しておこう。YouTuberとはYouTubeなどの動画サイトへ自分で撮影した動画を投稿し、訪問者数やクリック数などに応じて収入を得ることを生業としている人の総称だ。

YouTubeは、世界中の多くの人にとって身近なメディアとなったといっても過言ではない。日本も例外ではなく、ピコ太郎のPPAPの視聴回数は1億5000万回を超えるほか、HIKAKINが運営する4つのチャンネルの登録者数の合計は1000万人を突破している。いまや個人がメディアを運営し、自分自身をブランディングしながらお金を稼ぐことが可能な時代となったのだ。

HIKAKINがファウンダー・最高顧問としても参画するUUUMはYouTuberのマネジメントや技術提供等を行う企業だ。創業は2013年6月でまだ5年にも満たない若い会社ながら、2017年8月には東証マザーズ市場にIPOを果たした。他に類をみない新しいビジネスモデルに加え、おりからのHIKAKIN人気も追い風となって話題を呼び、公開価格(2050円)の3.3倍となる6700円で初値を付け、その後6800円の高値を記録した。その後はさすがに調整ムードとなる場面も見られたが、それでも時価総額は300億円、PERは100倍を超える人気銘柄となっている。

YouTuberは中学男子の憧れの職業

ところで、2017年3月にソニー生命は中学生200人、高校生800人に対して『中高生が思い描く将来についての意識調査』を行った。同調査の「将来なりたい職業」についてのアンケートで男子中学生の1位が「ITエンジニア・プログラマー」、2位が「ゲームクリエイター」、そして3位が「YouTuberなどの動画投稿者」となった。YouTuberは、筆者の子供の頃のあこがれの定番だった「プロスポーツ選手(4位)」を上回る人気なのだ。中学女子と高校男子の「将来なりたい職業」でもYouTuberは10位にランクインしており、そう遠くないうちに世界を舞台に活躍する日本人YouTuberが続々と誕生するかも知れない。そうなると当然、UUUMのビジネスモデルの重要性も一層高まることだろう。

ちなみに、世界の億万長者ランキングなどを発表している米Forbes誌も「YouTube Stars」として世界のYouTuberの年収ランキングを発表している。3年目となる2017年のランキングの1位は、英国の男性で26歳のダニエル・ミドルトン(DanTDM)で1650万ドル(約17億円)だ。DanTDMはトップクラスのゲーマーであり、自分のプレイやレビューをYouTubeで公開している。

上記ランキングの上位に日本人は入らなかったものの、それでもHIKAKINのような日本のトップYouTuberの年収は億超えとも言われ、多くの中学高校生の人気を集める「憧れの職業」となっている。

営業利益は会社予想の4.7倍に

1月18日、UUUMは2018年5月期中間決算(6~11月)を発表した。それによると、売上は48億7300万円と会社予想の37億7600万円を29%上回り、本業の利益を示す営業利益も2億5800万円と予想(5500万円)の4.7倍となった。同社は2018年5月通期について、売上が29%増の89億7900万円、営業利益を12%増の4億円を見込んでいる。

ちなみに、上期の売上の56%がアドセンスで、次いで29%の広告収入、12%のクリエーターサポートと続く。主力のアドセンスはGoogleが提供しているコンテンツ連動型広告配信サービスだ。広告収入は企業とのタイアップ広告による収入である。

創業から5年に満たないUUUMは、利益よりも売上のトップラインを増やすようにしているようだ。まだ拡大期であり販管費、人件費等の期初費用が増加しているため営業利益率は5%台と低いが、将来的には10%超を目指すという。

ちなみに、2017年11月末時点でUUUMがマネジメントに携わっているチャンネル数は5020と前年同期比46%増、前期比6%増と拡大が続いている。この3カ月の動画再生回数も75億9200万回と前年同期比45%増、前期比2%増と好調だ。

日本の動画コンテンツの発展とともに

UUUMが短期的にターゲットとしているのが「動画広告市場」だ。UUUMの決算資料等によると、上記「動画広告市場」の規模は2016年で842億円であるが、2020年には2700億円と約3倍以上に拡大すると予想している。米国の「動画広告市場」はテレビ広告市場の14%に達しているが、日本ではまだ4%と低いことから急速にキャッチアップする可能性が高いとの見立てだ。

UUUMの強さは専属クリエイターの多さだ。2017年6月末時点で178人と専属プロデュース契約をしており、その中にはHIKAKINやAAAJoken、はじめしゃちょー、SEIKIN(HIKAKINのお兄さん)、木下ゆうか、Fischer’sなどの人気YouTuberが名を連ねている。また、新規YouTuberを育成するためのチャンネルやリアル・イベント、グッズ発売などにも積極的だ。

YouTuberのマネジメントというビジネスは生まれて間もないモデルで不透明な部分も多いが、逆にそこが魅力なのだろう。UUUMの成長とともに日本の「動画コンテンツ」がどのように発展するのか、楽しみである。

(ZUU online編集部)

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