「君が代は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで」これは、国家である君が代の歌詞です。この歌詞にある、「さざれ石」が、とある神社に実在しているという噂は本当なのでしょうか。「細石」とはどんな石で、何を意味しているのでしょうか。日本国民として知っておきたい国歌の謎を紐解いてみました。

さざれ石とは?

さざれ石とは小さな石のこと

さざれ石とは小さな石のことを意味します。さざれ石は日本国歌に出てくる「さざれ石の巌となりて~」という歌詞でうたわれているので、さざれ石が何かどんな意味なのか実際には知らない人でも「さざれ石」という言葉自体には馴染みが深いはずです。

さざれ石とは石灰質角礫岩(せっかいしつかくれきがん)のこと

もともとさざれ石は小さな石という意味ですが、国歌の意味から「大きな石に変化していく小さな石」という意味があります。このような大きな石に変化していく小さな石のことを学術名では「石灰質角礫岩(せっかいしつかくれきがん)と言います。

石灰質角礫岩とは石にカルシウムや鉄などの鉱物が混じっており長い年月をかけてその成分が表面に溶け出し、小さな石同士をくっつける接着剤の役割を果たします。そうして石灰質角礫岩は長い時を経て小さな「さざれ石」から大きな「巌(大きな岩)にまで成長していくのです。このような性質を持つ石をさざれ石とも呼びます。

石が大きく成長するという石信仰も由来の一つ

さざれ石は日本古来の石信仰によるものだとも捉えることもできます。本来さざれ石とは「石灰質角礫岩」であり、石灰岩からミネラルが解けだして周りにある小石とくっつき大きく成長することがある石ということになります。しかし日本各地には「一夜にして大きな岩になった小石」というような伝承が存在します。

もちろん科学的には全く不可能な話です。しかし神話や伝説は往々にして科学では証明できないようなことが信じられており、石信仰も例外ではありません。石は神聖なものだという考えが日本には古来から存在します。

つまりさざれ石は自然科学現象によって作られた大きな石ではなく、化学現象を無視して小石が大きく成長することがありえるという一種神話のような話がもとになり、大きな石は神聖化され神社仏閣に祀られるのです。

水晶のさざれ石という意味も

最後にもう一つ「さざれ石」には小さく砕いだ水晶という意味もあります。パワーストーンを浄化するために水晶クラスターの上に乗せることがありますが、水晶クラスターは高価なので水晶を砕いた「さざれ石」を水晶クラスターの代わりに使うことがあります。

パワーストーンに詳しい人なら「さざれ石」と聞くと国歌「君が代」に出てくる「さざれ石」ではなく、パワーストーンを浄化するための砕いた小さな水晶のかけらだという考えるでしょう。

さざれ石の漢字と由来は?

さざれ石は細石と書く

さざれ石は漢字で「細石」と書きます。さざれ石は小さな石という意味ですから、漢字で書くとより意味がはっきりとします。たださざれ石は漢字よりもひらがな表記の場合が多いため、小さな石という意味を連想しにくく「さざれ石」の意味を知らない人が多いのでしょう。

さざれ石(細石)の由来は国歌「君が代」の【巌となりて】

さざれ石は(細石)という意味ですが、国歌の「さざれ石の巌となりて~」が由来となり大きく成長する石灰質角礫岩を特にさざれ石と呼ぶようになりました。全国各地に大きく成長した石(さざれ石)が存在しますが、国歌で歌われる霊的な意味にも由来して大きなものは神社などで神の宿る石として祀られることが多いようです。

君が代に出てくる「さざれ石の巌となりて~」という歌詞ですが、実はこの歌詞は古今和歌集の中に出てくる句が由来となったという説が有力です。「君が代は 千代に八千代に さざれ石の 巌となりて」という歌詞、古今和歌集では最初の5文字こそ違うものの「わが君は 千代に八千代に さざれ石の 巌となりて」です。

国歌の君が代に出てくるさざれ石(細石)ですが、実はモデルとなった石が「さざれ石公園」に存在します。元は古今和歌集で詠まれた「さざれ石」は岐阜県の揖斐川町にあり、「国歌君が代発祥の地」と刻まれた記念碑がさざれ石のそばに誇らしげに立っています。

古くは1000年前の古今和歌集で詠まれた「さざれ石」が現存している事に驚きをおぼえますが、県の天然記念物に指定されしめ縄がかかり大切にされています。そもそも岐阜県のこの付近はさざれ石の主要産地で、さざれ石がたくさんとれるのです。

君が代のさざれ石の意味は?

小さな石が大きく成長するようにという意味

さざれ石とは?君が代に出てくる細石の意味と置かれている神社も
(画像=『BELCY』より引用)

日本の国歌「君が代」に出てくるさざれ石(細石)の意味は「小さな石が大きく成長するように」という意味です。君が代の歌詞はシンプルなようでイマイチ意味が分かりにくい点がありますが、さざれ石の巌となりて~というくだりもそのうちの一つです。

小さな石が大きく成長するまでには想像を絶する相当な年月が必要です。実際には数百年以上はかかると言われています。「君が代」は天皇のことだとする解釈もありますが、そもそも古今和歌集を元にしたもので明治時代に入ったときに欧州国家の仲間入りをする際、国家という楽曲が必要になり性急に作られたもの。

もともとは「天皇」という解釈で作られた歌ではないことが分かります。そのためシンプルに小さな石が大きな石に成長するまでにかかる期間くらい、もしくはそれよりももっとずっと長い年月平和な世が続きますように...という意味だと解釈する方がよいでしょう。

協力し合って国を発展させていくという意味

さざれ石とは?君が代に出てくる細石の意味と置かれている神社も
(画像=『BELCY』より引用)

もう一つの大きな解釈では小さな石が大きな石に成長するという過程を考えます。さざれ石(細石)は小さな石が魔法にかかったように、ただ大きくなるわけではありません。さざれ石は石灰岩ですから石灰岩のカルシウムなどのミネラルが溶け出し、接着剤の役割をして小石同士がくっつき大きくなるものです。

つまりいくらミネラル分(接着質)を多く含むさざれ石であろうと、近くにくっつける石がなければ小さいままだということになります。そこから発展して「さざれ石の巌となりて~」のくだりの解釈は「一人一人協力して国の発展に尽くす」というように捉えることもできます。