もし、母子家庭や父子家庭になったら国や自治体からどのような支援が受けられるのでしょうか。母子家庭や父子家庭の手当は申請しないと受けることができないものが多く、知らないと損をしてしまいます。ひとり親家庭で受けられる手当を、FP(ファイナンシャル・プランナー)の鷲田さんが、わかりやすく説明していきます。

監修者紹介

ファイナンシャルプランナー・証券外務員二種:鷲田昌平さん

兵庫県神戸市出身。高校時代は陸上競技に打ち込み、その後IT企業に入社。2007年~金融業界へ。これまでマネーセミナーの講師を140回務めるお金のプロ。3人のお子さんのパパでもあります。

母子家庭、父子家庭だけが利用できる手当や制度

母子家庭、父子家庭は金銭的な不安を抱えることが多いため、そういったひとり親家庭を支援するために国や自治体が助成金の給付や割引制度を設けています。国や自治体の母子家庭、父子家庭への支援制度は主に生活面・医療面・教育面の負担が少しでも減らせることを目的にしています。

こちらの記事では母子家庭、父子家庭向けの手当についての一般的な例をご紹介します。 ただ、母子家庭、父子家庭向けの手当には所得制限が設けられているものがあったり、同じような支援制度でも自治体によって助成内容や適用条件が異なる場合もあります 。多くの手当は自治体ごとに管理されているため、母子家庭、父子家庭の方は一度お住まいの自治体へどんな支援が受けられるのかを確認するのをおすすめします。

母子家庭、父子家庭がもらえる国や自治体からの助成金

母子家庭や父子家庭は、国や自治体の支援で助成金がもらえる制度があります。制度によって、親族と同居している場合は一緒に住んでいる人の所得も助成金の審査対象になる場合があるので、手当が受け取れる条件についても事前に確認しておきましょう。

子供がいる世帯すべてが対象の児童手当

母子家庭、父子家庭に限らず、子供がいる世帯すべてが対象となる助成金が児童手当です。支給対象は日本国内に住む0歳から中学生までの児童とされており、所得制限はありますが月5,000円~15,000円が子供の年齢やパパママの年収に応じて支給されます。

2020年12月に、年収1200万円を超える世帯(夫婦合算は見送り)は2022年10月を目途として、児童手当が支給廃止となることが決定しました。※2021年1月現在の情報です

児童手当はパパママのうち所得の高い方に支払われます。そのため元々パパに児童手当が振り込まれている状態で離婚して子供はママが引き取ったという場合には、児童手当の振込先をパパからママへ変更するよう手続きを行わなくてはなりません

こういった手続きについては自治体では積極的にアナウンスしておらず、りません。こちらから聞かないと教えてくれない場合もあります。忘れないように手続きを行いましょう。一般的な児童手当の詳細については別記事にて紹介していますので、具体的な対象条件や手続き方法などはこちらで確認してみてください。

母子家庭、父子家庭向けの児童扶養手当

0歳~18歳の子供を育てている家庭で、離婚や死別などによって母子家庭、父子家庭になった場合や、婚姻せずに子供を産んだママ(いわゆるシングルマザー)が支給を受けられるのが「児童扶養手当」です。パパママのどちらかが重度の障害になった場合も児童扶養手当の支給対象となります。

支給期間は子供が18歳になった次の3月31日までです。 母子家庭、父子家庭の所得によって「全額支給」、「一部支給」、「不支給」の3区分に分かれており、全額支給の場合は月額42,500円、一部支給の場合だと月額10,030円~42,490円まで10円単位で変動していきます。さらに、子供が1人増えると10,040円の加算、3人目以降は1人につき6,020円ずつ支給額が加算されていきます(所得によって金額に変動あり) 。支給額や条件は見直されます。最新の情報は厚生労働省のホームページをご確認ください。

では、この「全額支給」、「場一部支給」、「不支給」の区分が決まる「所得」とはいくらなのでしょうか?児童扶養手当は、親族と同居している合、一緒に住んでいる人の所得も審査の対象になりますので、それも踏まえて見ていきましょう。

児童扶養手当の支給区分が決まる所得制限額について

扶養人数 受給資格者本人の年間所得 扶養義務者・配偶者・孤児等の養育者の年間所得
全部支給 一部支給
平成30年7月まで 平成30年8月以降
0人 19万 49万 192万 236万
1人 57万 87万 230万 274万
2人 95万 125万 268万 312万
3人 133万 163万 306万 350万

※児童扶養手当の審査対象になる所得は申請の前年度所得で計算されます

受給資格者とは、児童扶養手当を受け取る子供を養育している人、つまりパパママのことです。扶養義務者・配偶者・孤児等の養育者とは、同居している親族のことです。 親族と同居している場合、一緒に住んでいる人の所得も児童扶養手当の審査対象になります。所得は、「収入から給与所得控除や必要経費を差し引いた額」で計算します。母子家庭や父子家庭の場合は、養育費の8割相当も所得に加算されます

パパママが所得制限をクリアしていても、一緒に住んでいる人が所得限度額を超えた場合、児童扶養手当を受け取ることはできません。受給資格者または扶養義務者・配偶者・孤児等の養育者がそれぞれ扶養している子供の数から見た所得限度額は上の表の通りです。

所得は源泉徴収票の給与所得控除後の金額でわかる

児童扶養手当の審査対象になる所得は単純な給与ではありません。給与から給与所得控除を差し引いた金額になります 。給与所得控除後とは簡単に言うと、会社勤めをしていてかかる経費のことです。自営業者のように細かく経費計算ができないため、給与の一定の割合が経費として認められ、給与の支給額から引かれて税金が計算されるわけです。勤めている会社から給与を受け取っている場合は毎年源泉徴収票をもらっているはずです。上の写真の赤丸部分に記載されている金額が所得だと考えてください。

ただし、前述したとおり、 養育費をもらっている場合は「給与所得控除後の金額」に養育費の8割の金額も加算して所得を計算するようにしてください。また、児童扶養手当の支給に際して計算する所得は申請する前年度の所得になります

児童扶養手当の所得計算は自治体の窓口に相談しよう

児童扶養手当の申請のための所得の計算方法は非常に複雑です。お住まいの自治体窓口で自身がどのくらい受給できるのかを確認することをおすすめします。尚、所得制限額は物価の変動などにより毎年金額が改定されるため、こちらも申請のタイミングで自治体に確認を取るようにしましょう。

児童扶養手当の支給月で扶養人数と所得限度額を計算する

支給月 審査対象となる情
平成30年8月~平成31年7月分 平成30年1月1日時点
平成31年8月~平成32年7月分 平成31年1月1日時点

児童扶養手当は、1月1日時点で扶養している子供の数で所得限度額が決まります。児童扶養手当が支給される月によって、いつの年の1月1日が基準となるのかは上の表をご覧ください

平成30年8月~平成31年7月に支給される児童扶養手当を受け取りたい場合は、平成30年1月1日時点での扶養人数から所得額を計算します。例えば母子家庭で平成30年8月~平成31年7月までの月で児童扶養手当の支給を希望するとします。もし平成30年の1月1日時点で、子供が旦那さんの扶養に入っていた場合、扶養人数が0人の所得限度額で計算します。

児童扶養手当は毎年8月に更新される

児童扶養手当は、毎年8月に更新が行われます。手当を受け取っている人で、引き続き児童扶養手当を受給する場合は、更新の手続きをする必要があります。 所得制限により児童扶養手当を受給できていなかった人は、8月の更新のタイミングで受給対象者となる条件が揃っていれば児童扶養手当がもらえるようになります

児童扶養手当は、申請した月の翌月分から支給されるため、7月に手続きをしておかないと8月分の児童扶養手当を受け取ることができません。損をしてしまうことになるので、8月分の児童扶養手当を受け取りたい場合は、7月中に児童扶養手当の更新手続きを済ませておきましょう。 童扶養手当の更新手続きが遅れた場合は遡っての支払いはしてもらえません。童扶養手当の更新手続きが遅れるとどんどん損をしてしまいますので、更新ミスのないよう注意してください

児童扶養手当は2019年の11月から6回に分けて支給される

以前の児童扶養手当の支給月は4月・8月・12月の年3回でしたが、月々で収入のばらつきが大きく、支給日前までに使い切ってしまうなどの問題も多かったため、2019年11月からは児童扶養手当は年6回の支給に変更されることとなりました。

児童育成手当(母子手当)

こちらも0歳~18歳の子供を育てる母子家庭、父子家庭に対して、子供が18歳になって最初の3月31日までの期間支給される手当です。児童扶養手当と混同されがちですが、児童扶養手当が『国の制度』であることに対し児童育成手当は『自治体の制度』となっています。そのため、児童扶養手当はどの都道府県でも同じ条件で利用ができますが、 児童育成手当は自治体が内容を決めるため、自治体によっては制度自体がない場合もあります。異なる名称で同様の手当を支給している自治体もあれば、同じ名称でも支給金額や該当条件が異なる場合もあるため、ぜひ一度お住まいの自治体へ確認してください

今回は東京都の例をあげてご説明しましょう。東京都では「児童育成手当」という名称で運営されており、 子供1人につき月額13,500円が支給され、1人増えるごとに13,500円ずつ加算されて支給されます 。こちらも所得制限があり自治体によって制限額が異なりますのでお住まいの自治体で確認してください。手続き方法も自治体により異なりますが、多くの場合戸籍謄本や口座情報、印鑑などが必要となり自治体の窓口に書類を提出するという形になります。支給日は自治体により多少ずれはあるものの、基本的には1年間に3回(6月・10月・2月、各12日まで)が支給日とされています。