私たちの日常でよく耳にする「認知症」。実は犬もこの認知症になることがあるんです。犬が認知症になったとき、どのような症状が見られるのでしょうか。
その行動例や認知症の予防法をご紹介します。

1.犬の認知症(痴呆)とは?

【獣医師監修】犬の認知症の症状とは?予防のコツや介護方法も解説
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

犬の認知症は、老化や脳梗塞・脳出血、栄養障害などによって認知機能が低下し、行動の異変となってあらわれる進行型の障害です。

発症しやすいのは11~12歳を過ぎるころからといわれていますが、生涯発症しない犬もいます。また、しっかりとしつけられている犬でも認知症になってしまう可能性はあり、認知症としつけとの関連性はないといわれています。

認知症の症状

認知症にはさまざまな症状がありますが、これまで習慣としていた生活パターンやルールが守れなくなったり、睡眠や行動にも変化が出てきます。
愛犬の行動で気になるものはありませんか?

認知症チェックリスト

  • ごはんを何度も食べたがる

  • 昼寝が多いが夜は寝ない

  • 意味もなく吠える、単調な声で鳴き続ける、夜鳴きをする

  • 狭いところに入りたがり、入って身動きが取れなくなる

  • 同じ場所で円を描くようにグルグルと歩きまわる

  • 飼い主の呼びかけに反応しなくなる

  • 排泄ルールなど、身についていたはずの習慣ができなくなる

病院に連れていくタイミング

あきらかにこれまでと様子がおかしかったり、前述のチェック項目に当てはまるものがあれば、なるべく早く動物病院へ連れていきましょう。
認知症そのものを根治させることは残念ながらできませんが、症状を和らげたり進行を遅らせる治療は可能です。

シニア犬だから仕方ない…などと放置することなく、早い段階で獣医師に相談しながら、愛犬のより健康なシニアライフに寄り添っていきましょう。

2.認知症の原因と予防策

認知症は、老化や脳の疾患などによって脳神経細胞が衰えることによる、自律神経機能の低下が原因といわれています。
愛犬が長生きすれば老化は仕方のないもの。でも、年を重ねる中でも認知症を予防する対策はあります。飼い主にはどのようなことができるのでしょうか。

犬の認知症予防策

予防策① 不飽和脂肪酸を摂取する

不飽和脂肪酸の多く含まれる、いわし・さばなどの青魚や、まぐろ、かつおなどは認知症予防に効果があります。これらを多く含んだフードもありますが、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などのサプリメントで補うことも可能です。

予防策② 抗酸化作用のあるものを摂取する

抗酸化作用のある食品も、認知症予防に有効です。例えばブロッコリーやにんじんなどの緑黄色野菜や、オリーブオイル、ゴマなどをごはんのトッピングにしてあげると良いでしょう。サプリメントではビタミンCやビタミンE、セレニウムなどに抗酸化作用が期待できます。

予防策③ 脳に刺激を与える

頻繁に声をかけてあげたり、日光を浴びながらおもちゃで遊んであげるなど、愛犬の脳に良い刺激を与えることは認知症予防につながります。
また、マッサージも非常に効果的。手足やおなかなどをやさしくマッサージしてあげることは飼い主とのコミュニケーションも増して、より予防効果が期待できます。

予防策④ 筋力を維持する

定期的なお散歩や運動によって筋力を維持することも、認知症予防には大切なポイント。筋力へのアプローチだけでなく、外に出て自然に触れたり他の犬とコミュニケーションをとることも、脳への刺激となって非常に効果的です。

3.認知症になりやすい犬は?

加齢以外を理由として、認知症になる傾向が高いといわれている犬が“日本犬系の犬” です。

日本犬は元来、魚主体の食生活を送ってきたため、魚由来の不飽和脂肪酸を多く必要とします。しかし現代のドッグフードではその必要量を摂取することができず、血中の不飽和脂肪酸量が低下し認知症になりやすいといわれています。しかしもちろん、これらの犬が必ずしも認知症になるわけではなく、反対に該当しない犬でも認知症になる可能性はあります。