虫歯や歯周病などの口腔トラブルは、人間と同じように犬にも起こり得るもの。
放っておくとその歯を失ってしまったり、重大な病気を引き起こす危険もあります。
そんな、決してあなどれない口腔トラブルについて、原因や予防方法をご紹介します。
1.犬の歯の仕組みと歯の種類
犬の歯は、口の前面から奥に向かって順に、「切歯」、「犬歯」、「前臼歯」、「後臼歯」と4種類に分類されますが、実際に犬が食事をするときに使う歯は、いわゆる「機能歯」といわれる「臼歯(前臼歯と後臼歯)」のみです。
本来狩りをして獲物を捕らえながら生きる動物であるため、切歯や犬歯といった、“獲物を噛み切ったり固定するための歯”が備わっていますが、現代の飼育犬が日常的に使うのは臼歯のみ。フードは臼歯で噛み砕き、長く咀嚼することなく、すぐに飲みこみながら食事をしています。
2.犬は虫歯にならないって本当?
犬は虫歯にならない、なんて聞いたことはありませんか?
その鋭くて薄い形をした歯には人間と比べると虫歯菌がたまりにくい。また、犬の唾液は糖分が蓄積されにくいアルカリ性であることから、確かに犬は虫歯に“なりにくい”動物ですが、決して虫歯にならないわけではありません。
ではどのようなことが原因で、犬は虫歯になってしまうのでしょうか。
3.犬が虫歯になる原因は?
先天的な歯の形状や唾液の性質から見ると、虫歯になりにくい犬。
それなのに虫歯になってしまうということは、後天的な理由、つまり生活環境が影響しているといえます。
犬に虫歯ができる原因
原因1 飼い主の食事を与えている
飼い主さんのご飯やおやつに含まれる糖分は、犬にとっては過剰なもの。その糖分の蓄積によって虫歯菌が作られてしまいます。愛犬に与えるのは、味付けのしていない茹でた野菜などならOK。人間の食事は与えないようにしましょう。
原因2 おやつを与えすぎている
たとえ犬用のものだとしても、おやつにはしっかりと糖分が含まれています。
喜んで食べる愛犬のおねだりについ応じてしまってはいませんか。おやつの与えすぎは虫歯菌のもと。与える量は適量にしましょう。
原因3 人間とのスキンシップ
飼い主さんの口を舐めるなど口元でスキンシップをとることが多い犬ですが、その相手に虫歯があると、虫歯菌が感染してしまう可能性もあります。
実際に虫歯の原因として特定できるものではありませんが、過度な口元でのスキンシップは控える、飼い主さんが一口食べたものは与えないなど、人間からの感染リスクを意識しておきましょう。
原因4 歯周病を放置している
犬にとっての口腔トラブルとして多いのは、実は虫歯よりも歯周病。
その歯周病にかかると、歯茎が下がり歯の根元部分に歯垢がたまりやすくなるため、それが結果として虫歯につながることがあります。
4.虫歯よりも要注意。犬に多い口腔トラブルは歯周病!
犬も環境次第で虫歯になってしまうことがあるということがわかりましたが、前述にもあるように、虫歯以上に犬の口腔トラブルで気を付けなければいけないものが“歯周病”です。
歯石や歯垢がついたまま放置されることによって、細菌から毒素が出て歯茎が炎症を起こし痩せてしまうこの歯周病。繰り返されるとやがて歯は抜け落ちてしまいます。
さらに悪化すると菌血症を引き起こし、心臓や肝臓などの臓器に障害がでてしまうことも。
日常的な歯磨きで、しっかりと歯周病を予防していきましょう。
犬の歯磨き方法
■ステップ1:デンタルケアにゆっくりと慣れさせる
まずは、飼い主さんの指に犬用の歯磨きペーストやデンタルジェルを塗ってなめさせてあげましょう。数日かけて少しずつ口の中に指を入れていき、歯や歯茎をなでることによって口腔内のケアに慣れていくことができます。
■ステップ2:ブラッシング
指を使ったデンタルケアに慣れてきたら、ブラシを使った歯磨きをやってみます。ブラシは、愛犬が嫌がらず、飼い主さんが磨きやすいものを選ぶと良いでしょう。嫌がる場合は無理強いすることなく、はじめのうちは数本の歯でも短い時間でも構いません。
■ステップ3:歯と歯茎の間のブラッシング
ブラッシングに慣れてきたら、歯だけではなく歯と歯茎の間をブラッシングしていきます。ここが歯垢や雑菌がたまりやすい一番のポイント。しっかりとかき出せると良いですね。
また、歯磨きが難しい場合はデンタルガムを与えることも有効です。デンタルガムには歯磨き効果があり、噛むことで歯垢除去が可能に。歯磨きの時間が取れないときのケアにもおすすめです。