生命保険に加入するときは、自分に万が一のことがあったら、いくらもらえると残された人たちの生活が守れるのかを知っておくことが大切です。ただ、正確な必要保障額はそれこそ一人ひとりの収入やこれまでの働き方、家族構成などによって変わるので、自分で計算するのはなかなか難しいものです。そこで今回は、保険金額の相場と家族構成による保険金額の目安をご紹介します。
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保険金額はいくらが目安?
公益財団法人生命保険文化センターが2019年に発表した「生活保障に関する調査」によると、各年代の男女別の生命保険加入金額の平均額は表1のようになっています。
表1. 生命保険加入金額の年代別平均額
男性 | 女性 | 全体 | |
20歳代 | 1,330万円 | 735万円 | 1,032万円 |
30歳代 | 2,331万円 | 1,013万円 | 1,608万円 |
40歳代 | 2,205万円 | 818万円 | 1,432万円 |
50歳代 | 1,992万円 | 824万円 | 1,314万円 |
60歳代 | 1,192万円 | 655万円 | 869万円 |
男女とも30歳代の保険金額が最も多く、男性では子供が成人していないであろう30歳代から50歳代で2,000万円前後、女性でも30歳代で1,000万円をピークに40歳代、50歳代で800万円強となっています。
家族構成による保険金額の目安
独身であれば死亡保障は少なくてOK
表1で各年代の保険金加入金額の平均額を見ましたが、必要保険金額はその人の環境によって大きく変わるので、皆さんが上記の平均額保険をかけていれば安心というわけではありませんし、逆に平均保険額が全員に必要というわけでもありません。この中でも必要保険金額に大きく関わるのが家族構成です。
まず、独身の方ならば、もし自分が働けなくなることで両親や親戚の生活が苦しくなるという場合、生命保険が必要になるでしょう。一方、自分に万が一のことがあっても生活に困る方がいない場合は、特に死亡保障は必要ありません。
生活は困らないけど葬式代などを負担させたくないということであれば数百万円の終身保険も考えられますが、数百万円であれば貯金で用意することもできますし、毎年払う保険料のお金で両親を旅行に連れて行ってあげるほうが親孝行になるかもしれません。
共働きか片働きか
夫婦が共働きか片働きかでも必要な保険加入金額は変わってきます。結婚する前はどちらも働いていて自立していた夫婦が、結婚後も同じように仕事を続けているならば、どちらかに万が一のことがあっても、もう片方が生活に困ることは少ないでしょう。もちろん子供がいたり、結婚後は片方が仕事の時間を減らしたりしている場合、その分の保険は必要です。
結婚して片方が仕事を辞めた片働き夫婦の場合、働いている方にもしものことがあったら、もう片方は生活に困ることになるので、より手厚い保険に入る必要があります。
子供の数でも保険金額は変わる
最後に生命保険の加入金額に大きな影響を与えるのが、子供の数です。文部科学省が2018年に発表した「子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校までに必要な教育費は表2の結果となっています。
表2.幼稚園から高校までの学習費の総額
幼稚園 (3年間) |
小学校 (6年間) |
中学校 (3年間) |
高校 (3年間) |
合計 | |
公立 | 67万941円 | 192万7,686円 | 146万5,191円 | 137万2,140円 | 543万5,958円 |
私立 | 158万3,748円 | 959万2,146円 | 421万9,299円 | 290万9,733円 | 1,830万4,926円 |
子供は生活費だけではなく、こうした教育費も必要になります。公立か私立、どちらに進学させたいかにもよりますが、子供が1人増えると教育費だけで500万円~1,800万円、生命保険の加入金額が変わることは覚えておきましょう。
ライフプランごとに見直しを
これまでご紹介してきたように、生命保険の必要な加入金額はその人の環境、特に家族構成によって大きく変わります。つまり、ある時期にしっかりと保険のことを考えて適切な死亡保障額の保険に加入したとしても、家族構成が変われば必要な保険は変わるということです。
特に結婚や出産という大きなライフイベントは、生命保険の加入金額を見直す絶好のタイミングになります。自分に万が一のことがあったとき、残された家族が安心して生活できるように自分と家族の希望を考えながら保険を見直しましょう。
死亡保険を選ぶなら必要な保険金額を知ろう
日本人が加入している保険加入金額の平均は男女とも30代がピークで、男性では約2,300万円、女性では約1,000万円でした。ただし、これらの平均はあくまで目安ですので、自分の仕事や家族構成などを考えながら、必要な保険金額を自分なりに調べ、過不足のない生命保険に入りましょう。
文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)
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