恋愛だ結婚だ、と出会いの活動を増やしている女性は多いけれど、出会いは多くなればなるほど選択肢が生まれて恋のチャンスを失っていく。今回は、婚活に力を入れてマッチングアプリで出会いを増やす女性たちの話。

合理的に進む恋愛

「出会い系」というとアダルト広告ばかりが目立つ印象で、「結婚相談所」はあまりにも敷居が高かった。そんなこれまでとは一変して、今や彼氏彼女のいない男女の多くが「マッチングアプリ」を利用する時代に変化したではないか。フリーの女性が「この間、アプリで会った人とごはんに行ったんだけど~」という話を堂々とする姿も伺える。

つまりこれまでとは違って、スマホが一台あれば、いつでもどこでも出会いのチャンスが作れるようになったということだ。しかもマッチングアプリでは「年代」「年収」など出会いたい相手のスペックをあらかじめ入力するフィルターもある。なんと画期的なことか。

相手の欠点を見つけては、指をスライドさせプロフィールに戻る。出会った印象が悪ければまた別の相手、と出会いのチャンスは増えるばかりだ。その結果、彼女たちはまず出会った相手の「欠点探し」に必死になる。自分のパートナーとなる相手の条件は満たされている、となれば相手に求めるのはスペックとはさらに別の“何か”だ。

自分のパートナーとしてふさわしくない「欠点」は、どこなのか。そして、その欠点を見つけたときに自分が許せるか許せないか。いかに自分の条件に合った相手に出会えるかが大切なのだ。合理的なパートナーを彼女たちは求めている。

選択肢があればあるほど恋のチャンスは失う

マッチングアプリを駆使し、初めましての顔合わせにも慣れ始めた婚活女子たちは、マッチングアプリで出会う人のことを「アポ」と呼ぶようになった。仕事のアポイントメントと同じ感覚、つまりいかにさばくがどうかが大切になっているのだ。

SNSで“婚活垢”と検索すれば、すぐにでも結婚をしたい! という女性たちが日々、マッチングアプリで出会った人の愚痴を挙げているのがわかる。彼女たちはとても活動的に、出会いを増やすことを楽しんでいる。

けれど、そんな彼女たちが実際にこの婚活アカから抜け出せる日は一体いつなのだろうか。

アポの数を指標にすればするほど、恋のチャンスは失っていく。出会った男性の欠点の大小を比較してはさらに他の出会いを求めてネットを彷徨う。女子会のネタも、異性との出会いと比例するように増え続ける。

もちろん、アプリで見つかった相手とすんなり恋活や婚活を成功させた人たちもいる。

その違いは何か? それは意外と簡単だった。アプリを介して付き合い始めた友人たちに聞くと、みんなが口を揃えて「最初の数人としか合っていない」と述べるのだ。つまり選択肢が少ないことで、目の前に現れた案件(男性)に足踏みすることなく飛び込むことができる。比較対象が少ない方が、恋のチャンスに繋がるのだ。