<女性が一生、お金に困らないためのレッスン vol.3/経済評論家・佐藤治彦>
いざという時にお金が支払われる生命保険。 最近は、病気やケガなどの入院給付金が出る医療保険、万が一の不幸の時に、つまり亡くなった時にお金が出る死亡保険、シニア向けに「家族に迷惑はかけたくないから葬式代くらいは残したい」という死亡保険がよく知られています。
宣伝もこの3本柱ですよね。ネットで申し込めるものも多く保険料(掛け金)も手軽なものもあります。
月846円の保険料も、10年で10万円以上
1000万円の死亡保険が月846円なんて聞くと、入りたくなってしまいますよね。 生命保険に入ると決めている方にチェックしてもらいたいことがあります。それは、保険を選ぶ時には、毎月の保険料ではなく、総額でいくら払うのか?ということにこだわって商品選びをしてほしいということです。
某ネット系生命保険会社を例に考えてみましょう。 30歳の女性の場合。1000万円の死亡保険は、先に書いた毎月846円だったりします。ただし、これは契約年数が10年です。846円ですから、1年で1万152円、10年で払う総額は10万1520円です。例えば、22歳のときに産んだ8歳の子どもがいて、この子どもが18歳になるまでの補償がほしいということであれば、10年後に契約の期限が来た時に終わり。払ったお金は掛け捨てですから戻ってきません。
公的な遺族年金だけで足りるかも?
ちょっと横道にそれますが、ここで忘れないでほしいのは、国の遺族年金という制度です。シングルマザーなどで、30歳の女性の収入で子どもを養っているという場合。もしくは、夫と妻、そして子どもが1人というような場合も、主な働き手が国民年金や厚生年金に入ってお金を払っていれば、遺族年金が出る可能性があります。
例えば、遺族基礎年金の場合、 ・妻と子ども1人が残された場合→毎年100万6600円(子どもが18歳の3月を迎えるまで) ・妻と子ども2人が残された場合→毎年123万1500円(同) ・子どもが1人で残された場合→毎年78万1700円(同) となります。 (金額は毎年少しづつ変わります)。
例えば、妻と8歳の子どもが残されると、10年間は支払われますから、それだけで1000万円以上払われるわけです。会社員や公務員などで厚生年金に入っている人が亡くなった場合は、さらに遺族厚生年金も支払われます。
また、国民年金などを払っていなくても、役所に届け出て、支払い免除を受けていれば遺族年金は満額支払われます。
思ったよりも充実している制度なのです。ですから、自分の子どもなど家族にいざという時にお金を残したいと思うのであれば、遺族年金がいくら出るかを計算しておく必要があります。民間の保険のお金と、公的な遺族年金が支払われるからです。詳しくは説明が長くなるので、また別の機会でお話しします。