今年の「第64回グラミー賞」で史上3位となる11部門にノミネートされ、主要「アルバム・オブ・ザ・イヤー」をはじめ最多5部門受賞という快挙を成しとげたジョン・バティステ。グラミー賞後、アルバム『ウィー・アー』の売り上げが2700パーセント以上の伸びを記録するなど、今最も注目のアーティストだ。

アルバム『ウィー・アー』は、ブラック・アメリカン・カルチャーに敬意を示しながらも、ジャズ、R&B、ポップス、ファンク、ヒップ・ホップ、クラシックを自由自裁に横断する、彼自身のルーツやこれまでの伝統を組み込みながらも、進化や未来を見据えた全く新しいサウンドが融合した傑作だ。

そんなジョン・バティステとは、いったい何者なのか? ニューオーリンズ出身で、ジャズ・ミュージシャン一家という環境で育ち、ハーレムにある国立ジャズ博物館のアート・ディレクターも務めた経歴を持つ。シンガー・ソング・ライター、ピアニスト、バンド・リーダー、作曲家、音楽プロデューサー、俳優など様々な肩書を持ち、NYをベースに活躍している。

ブラック・ライヴス・マターにて「平和的デモ」を先導

昨年の6月、世界的に「ブラック・ライヴス・マター」運動が活発になった際、多くのデモやプロテスト・コンサートを主催し、注目を集めたジョン・バティステ。音楽を用いた平和的抗議を行った第一人者としてアメリカ全土から支持を集め、CNNなどの主要テレビ局・ネットワーク、そして、タイム誌やニューヨーク・タイムズ紙などでも大きく取り上げられ、激動の年において彼の多大な影響力に注目が集まった。

3度のエミー賞を受賞し、タイム・マガジンの「最も影響力のある人物100人」の1人に選ばれたことでも知られる、スティーヴン・コルベアも彼について、「私たちの会話の大半を占める暗闇の中で、ジョンは、彼の行動と精神によって、私のすべきことや人間性を維持する希望を与えてくれます」「私が忘れられても、ジョン・バティステの名前は賞賛の念を込めて語られると信じています」と絶賛している。

また、ジョン・バティステは選挙にも言及し、テレビを通して「行動することの大切さ」を解いている。CNNでのインタビューでは「私たちがやっていることを見てください。音楽を使って人種や性別を問わず、黒人の生活のために人々を集めているんだ。私たちは抗議活動をして投票に行かなければならない。前回の選挙では1億人が投票に行かなかった。私たちは3人の候補者と戦っています。ドナルド・トランプ、ジョー・バイデン、そして無関心。何よりも無関心と戦わなければならない。黒人の生活のために 戦わなければならない それをしなければ誰もやらない 我々がやる そうだ“選ばれし者だ”私たちなら変えられる」とコメントし、多くの共感を得た。