理想のセカンドライフを求めて、退職後に地方へ移住するシニア世代が増加しています。この記事では、老後移住のメリット・デメリットや老後移住のポイントについて、おすすめの移住先を交えながら解説していきます。

老後に移住するメリットデメリット

老後移住のメリットデメリットや支援のある移住先を紹介
(画像=『移住支援.com』より引用)

憧れのセカンドライフを目指して老後移住する方は、増加傾向にあります。しかし、「老後にわざわざ移住するメリットって何?」「興味はあるけど、年を取ってからの移住生活って大変なのでは?」など、老後移住に漠然とした疑問を持つ方もいるのではないでしょうか?ここでは、老後に地方移住する上でのメリットとデメリットについて解説していきます。理想通りの移住生活を送るためにも、さまざまな角度から老後移住について考えてみましょう。

メリット

老後移住することで、都市部の生活では味わえないメリットを体感することができます。シニア世代が地方へ移住した場合の主なメリットは、以下の3点です。

・豊かな食生活を送れる
・住宅費を抑えられる
・近隣住民との交流を楽しめる

老後移住には、健康面、経済面、精神面に関するメリットがあります。「これまで暮らしていた場所とは全く違う環境でセカンドライフを過ごしたい」「心身ともに健やかな老後を送りたい」という方は、ぜひ地方への移住を検討してみましょう。では、各項目を解説していきます。

豊かな食生活を送れる

自然の多いエリアに老後移住した場合、健康的な食生活を送ることができます。海が近い地域では海産物、畑の多い地域では農作物、牧場のある地域では酪農製品というように、地方にはさまざまな現地生産の食材があります。日常的に質の良い食事をとれることから、「老後は食生活に気を遣いたい」「体に良いものを摂取して健康的な老後を送りたい」という方に最適です。体調管理を意識することは、快適なセカンドライフを送る上でとても重要です。良質な食材を安く手に入れられる地方へ移住することで、健康的な老後生活を楽しめるというメリットがあります。

住宅費を抑えられる

老後移住のメリットに、住宅費の節約が挙げられます。田舎エリアの住宅費は、一般的に都市部よりも低価格設定です。そのため、家賃や住宅購入費を抑えることで、経済的な老後生活を送ることができます。「都市部の住宅費が高くて老後が不安」「住宅費の負担が大きくて快適なセカンドライフとは程遠い」といった悩みを持つ方は、住宅費を節約できる老後移住がおすすめです。経済的な負担を減らすことは、精神面の安定に繋がります。老後移住で不安や悩みの原因を取り除き、快適なセカンドライフを実現しましょう。

近隣住民との交流を楽しめる

老後移住には、地域の人々と交流しながら暮らせるというメリットがあります。田舎エリアは、都市部よりも地域交流が盛んです。おすそ分けや立ち話といった日常的なご近所付き合いが濃いことはもちろん、祭りやイベントなど地域の行事が多い点も特徴です。そのため、周囲の人々との交流を楽しみながら老後を過ごすことができます。都市部で暮らす場合、近隣住民との関係は希薄になりがちです。一方の田舎エリアでは、家族ぐるみで地域交流をする機会が多いため、「人同士の繋がりを大切にしながら明るい老後を過ごしたい」「誰とも交流できない寂しい老後生活にはしたくない」という方に最適です。

デメリット

「のびのびしたセカンドライフを送りたい」「忙しない都会で老後を過ごしたくない」という理由から、老後移住する方は多い傾向にあります。しかし、シニア世代になってからの移住生活は、良いことばかりではありません。老後移住をする際は、以下のようなデメリットがあることを覚えておきましょう。

・車の所有が必須
・介護施設が近くにない場合がある
・移住先の環境になじめない

利便性の問題が目立つ地方移住ですが、シニア世代は若者世代よりも不便な生活を強いられる可能性があります。また、現地生活に適応できるか否かについても、事前にしっかりと考慮しなければなりません。ここでは、老後移住のデメリット3つに関して詳しく説明していきます。

車の所有が必須

老後移住のデメリットに、車の運転が必須という点があります。商店や生活利便施設が点在しがちな田舎エリアでは、車が最も主流な移動手段です。そのため、老後の地方移住に伴い、車の運転をする必要があります。都市部から地方へ移住するシニア世代の中には、「元々車の運転が好きだから問題ない」「運転免許もあるし車を買ったら解決なのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、老後移住には、何年先まで車の運転ができるか分からないという問題点が付きまといます。一般的に、「高齢運転者」に分類されるのは70歳以上のドライバーです。高齢者の免許証の返納数が増加していることを受けて、「やっぱり自分も免許証を返納したい」という感情が将来的に生まれる可能性も考えられます。一方で、車なしで田舎暮らしを成立させることが困難であることも事実です。「生活できなくなるから免許証を返納できない」という状況に陥る可能性もあるため、老後移住する際は慎重に考える必要があります。車なしでも困らない移住生活を送りたい場合は、利便性や交通アクセスの良い地方都市への移住がおすすめです。車を運転する必要がないので、年齢を重ねても快適に暮らすことができます。

介護施設が近くにない場合がある

老後移住のデメリットに、介護面での不便さが挙げられます。地方に移住した場合、必ずしも近隣に介護施設があるとは限りません。田舎エリアは、病院、商業施設、銀行、郵便物をはじめとする生活利便施設の充実度が低い傾向にあります。そのため、介護施設が市町村内に設置されてない自治体も存在します。老後移住をする際は、介護のしやすさについても考えることが大切です。どんなに体力や健康面に自信のある方でも、突然介護が必要になる場合もあります。もしもの時に慌てなくて済むように、介護施設の数やアクセスのしやすさを移住前にチェックするようにしましょう。

移住先の環境になじめない

老後移住する場合、移住地の環境に適応できない可能性があります。南北に長く伸びた地形の日本では、地域ごとに大きな違いが見られます。冬の寒さが厳しい北海道、積雪量が多い北陸地方、台風の影響を受けやすい九州、高温多湿の沖縄というように、各エリアの気候はさまざまです。そのため、これまで暮らしてきた環境と全く異なる気候の地域へ移住する場合、現地の環境に適応できない可能性も考えられます。特に、雪かきや家の補修を日常的に行わなければならない地域では、体力面の負担が大きくなりがちです。移住先を決める際は、10年後、20年後も自身で対応していけるかという点も踏まえて検討しましょう。また、移住地によっては、地域住民との人間関係が特殊な場合もあります。現地特有のルールや価値観に適応しながら暮らすことになるため、柔軟な考え方を持つことが必須となります。自身の確固たる価値観を築き上げているシニア世代の方は、「自分の常識が移住先でも通じるとは限らない」「現地のやり方に合わせて臨機応変に暮らせるか」という点について考慮するようにしましょう。環境の変化に適応できるか否かで、老後移住の充実度は大きく変わります。気候、文化、価値観、人間関係など、あらゆる面における環境の違いを認識することは、老後移住した後の適応力を上げることに繋がります。移住先の環境になじめるか不安な方は、事前にお試し移住などを活用するのがおすすめです。現地での生活を実体験し、自身の適応力と柔軟性を再確認してみましょう。

老後に地方移住を考える際のポイント

老後移住のメリットデメリットや支援のある移住先を紹介
(画像=『移住支援.com』より引用)

快適な老後生活を送るためにも、移住前に以下のポイントを押さえることが大切です。

・暮らしやすい地方を選ぶ
・生活コストなどをあらかじめイメージしておく
・補助金などの支援制度を事前に確認しておく

移住前の準備を徹底することで、充実した老後生活を送ることができます。せっかく老後移住を決行しても、長くその地で暮らせなければ意味がありません。「セカンドライフをここで過ごすなんてもう限界」「やっぱり老後移住なんてやめておけば良かった」と後悔することを防ぐためにも、移住後の生活を具体的にイメージしながら準備を進めるように心掛けましょう。では、各ポイントを詳しくチェックしていきます。

​​暮らしやすい地方を選ぶ

老後移住を成功させるポイントは、自身にとって暮らしやすい地に移住するということです。地域ごとに異なる気候や文化が根付いている日本では、移住地選びが老後移住の明暗を分けます。例えば、都内から雪の多いエリアに移住した場合、寒さや雪の除去への対応にストレスが溜まる可能性があります。一方で、高温多湿でカビが生えやすい沖縄を移住地に選んだ場合は、家のメンテナンスやケアに追われながら老後生活を送る覚悟が必要です。負担の少ない老後移住を実現するためにも、自身にとって暮らしやすい場所を移住先に選ぶようにしましょう。シニア世代の方が新天地で老後生活を送る場合、体の不調などに悩まされる恐れがあります。そのため、自身が快適に長く暮らせるかどうかを事前にリサーチし、ベストな老後移住地を決定することが大切です。移住先を決める際には、移住候補地をいくつかリストアップするようにしましょう。候補地を複数用意しておくことで、柔軟に老後移住地を選ぶことができます。

生活コストなどをあらかじめイメージしておく

老後移住を実行する前に、必ず移住後の生活コストを想定するようにしましょう。移住地ごとに、住宅費、食費、日用品費、雑費は異なります。移住候補地が決まったら、できるだけ具体的に生活コストを計算することが大切です。都市部から地方へ移住する場合、生活費を安く済ませられるとイメージしがちです。しかし、地域によっては住宅費などが高いケースも多く、老後移住生活=100%安く暮らせるというわけではありません。地域ごとの特色や地理的な問題点などを調べ、毎月の生活費をイメージしてから移住を決定しましょう。生活コストを事前に知っておくことは、移住地に定住する上で重要なポイントです。「思ったより生活費が高くて老後の蓄えがどんどん減っていく」「もっと安い生活費で老後生活を送れると思っていた」といった後悔の念を抱かなくて済むように、移住候補地の生活費の相場を事前にチェックしましょう。

補助金などの支援制度を事前に確認しておく​​

移住地で快適な老後生活を送りたい方は、各自治体が実施する移住支援制度を事前に確認しましょう。人口数が減少している地方自治体では、移住者を増やすためにさまざまな取り組みを行っています。以下は、自治体が行っている移住支援制度の例です。

・移住相談窓口
・移住者との交流会
・移住お試し体験
・移住向け現地ツアー
・移住支援金の交付
・住宅取得に関する補助金
・空き家バンク制度

移住時のサポートはもちろん、移住前の準備段階から支援を受けられる自治体も多く存在しています。そのため、「本当にこの地で老後をずっと過ごせるだろうか?」「身近に老後移住した人がいないから相談できない」といった不安や悩みを払拭することができます。万全な状態で老後移住をスタートさせるためにも、支援制度をフル活用することがおすすめです。ただし、支援制度の中には、45歳以下などの年齢制限が付けられているものもあります。詳細を十分に確認し、自身が受けられる支援制度を明確にすることが大切です。