似た意味として捉えられがちな移住と定住ですが、それぞれが持つ意味は異なります。この記事では、移住と定住の違いや、移住生活のメリット・デメリット、人々が移住する目的、移住生活に向いている人と向いていない人の特徴について解説していきます。

移住とは

移住とは?定住との違いや気になる移住のアレコレを詳しく紹介!
(画像=『移住支援.com』より引用)

移住は、居住している市町村、都道府県、国を跨いだ生活拠点の変更です。日本国内における主な移住には、Uターン、Iターン、Jターンの3種類があります。各移住は、それぞれ以下のような特徴を持ちます。

Uターン:生まれ育った地方から都市部へ移住した人が、再び故郷へと移住すること
Iターン:都市部から地方へ移住すること
Jターン:生まれ育った地方から都市部へ移住した人が、故郷から近い別の市町村に移住すること

また、上記3つの他にも、都道府県や市町村が作った独自の移住名称があります。

移住の定義

移住とは、現在の住まいとは別の場所に移り住むことを指します。単に「居住地を変える」という意味のため、移住先で長く暮らすか否かは関係ありません。

移住と定住の違い

定住は、移住と似て非なるものです。移住には、「別の地に移り住む」という意味があります。一方で定住という言葉が指す意味は、「ある土地に永続的に暮らすこと」です。移住という言葉がその地に住み着くかどうか関係なく使われるのに対して、定住は長期間その地で生活することが前提となっています。

移住をするメリットとは?デメリットも解説

移住とは?定住との違いや気になる移住のアレコレを詳しく紹介!
(画像=『移住支援.com』より引用)

ここでは、移住に関するメリットとデメリットを3つずつご紹介します。地方への移住が自分に合うかどうか、今一度よく考えてみましょう。

メリット

新たな土地で暮らす移住生活には、さまざまなメリットがあります。以下は、田舎地方へ移住した場合に挙げられる主なメリットです。

・生活費を抑えられる
・自然の中で暮らせる
・子育てをしやすい

移住することで、経済面、自然環境、子育てにおける多彩な恩恵を受けることができます。それでは、各項目の詳細をチェックしていきましょう。

生活費を抑えられる

地方移住することで、生活費を節約できます。都市部と比較した場合、地方は物価が安い傾向にあります。住宅費は特に顕著で、都市部より大きな家でも低価格な家賃で暮らせるケースが一般的です。生活費の中で住宅費が占める割合は大きく、住宅費の節約は生活費全体の節約実現に繋がります。

もし生活費を大幅に抑えながら暮らしたい場合は、住宅費の相場を加味しながら移住先を決めるのがポイントです。また、移住する地域によっては、日々の食費を節約することができます。

たとえば、海が近いエリアでは海産物が安く、農業や酪農が盛んな地域では野菜や乳製品が低価格で販売されています。日常的に使う食材をリーズナブルに購入できるため、食費を抑えながら生活することが可能です。一見わずかな価格差に感じる食材費でも、長期的に見ると大きな節約になります。生活の基盤である衣食住の食と住にかける出費を減らせるので、移住により経済的負担の少ない生活を送ることができます。

自然の中で暮らせる

地方移住の魅力に、大自然の中で暮らせるというものがあります。海、川、山、畑といった自然に囲まれた環境では、都市部とは違った時間の流れを感じることができます。身近な植物や虫たちと共存しながら日々の生活を送るため、季節の移り変わりにも敏感です。山々が紅葉で色付く姿を目にしたり、田んぼに黄金色の稲穂が実ったり、自然の変化を感じながらストレスの少ない日々を過ごしたい方に最適です。

また、田舎エリアへ移住するメリットに、空気が澄んでいるという点が挙げられます。車が少ない地域では、排気ガスなどによる空気汚染の心配がありません。綺麗な空気の中で暮らせるため、心身ともに健康な移住生活を送ることができます。

子育てをしやすい

地方移住のメリットに、子育てのしやすさがあります。移住支援を積極的に行っている自治体に移住した場合、多種多様なサポートを受けることが可能です。以下は、子育てに関連する支援制度の例です。

・中学校を卒業するまでの医療費を全額助成
・2歳以上の子どもの保育料を無料
・子どもの数に応じて出産祝い金を支給
・子育て支援米を配給

過疎化が目立つ田舎地方では、人口密度の高い都市部よりも充実した子育て支援を受けられます。バリエーション豊富な助成金を用意している自治体もあるため、子育てにおける経済面での負担軽減に繋がります。また、日本各地で問題となっている待機児童に関しても、人口密度の低い地域なら心配ありません。子どもの数自体が少ないことから、比較的短い待機期間でスムーズに入園することができます。「移住後はすぐに子どもを預けて働きたい」「できるだけ多くの支援を受けながら子育てしたい」という方は、子育て世帯が暮らしやすい移住先を探してみましょう。

デメリット

リラックスしながら暮らせるイメージの移住生活ですが、完全にストレスフリーな日々を送れるわけではありません。地方へ移住する場合、以下のようなデメリットがあることを覚えておきましょう。

・車の運転ができる必要がある
・大型の商業施設などが少ない
・近所や地域の人との交流を避けられない

地方で暮らす場合、都市部のような利便性の高い生活を送ることはできません。また、田舎ならではのルールに縛られることもあるので、事前に移住後の生活をイメージトレーニングするようにしましょう。では、各デメリットの詳細を確認していきます。

車の運転ができる必要がある

田舎エリアに移住した場合、車なしでは生活できない可能性があります。食料品店、病院、郵便局、銀行といった生活に必要な施設が近隣にない場合も多く、バスや電車の利便性も高くありません。数時間に1本しかバスが来ない地域もあることから、車移動が一般的です。もし車の運転ができない場合、徒歩や自転車で数時間かけて移動することになります。快適な移住生活とは程遠い暮らしを送ることになるので、「ペーパードライバーだから運転するのが不安」「そもそも運転免許証を持っていない」という方は、必ず移住前に車の運転ができるようにしておきましょう。

大型の商業施設などが少ない

移住先が田舎エリアの場合、大型の商業施設が少ないというデメリットがあります。商店街や個人商店で成り立っている地域も多く、商業施設が全くないエリアも存在します。都市部のような便利な生活環境ではないことから、常に計画的に買い物をしなければなりません。一般的な商業施設には、服飾、文具、雑貨、医療品をはじめとする多種多様な分野のテナントが入っており、全ての買い物を一度に済ませることが可能です。

しかし、商業施設のない地方で暮らす場合、衣料品店、文具店、雑貨屋、薬局などの店舗を1か所ずつ訪れる必要があります。各店舗が離れた場所で営業していることもあるため、買い物に多大な労力と時間を費やさなければなりません。もし大型商業施設などが少ない田舎へ移住する場合は、「都市部のように気軽に買い物できなくても大丈夫か?」という点についてよく考えるようにしましょう。

近所や地域の人との交流を避けられない

地域住民の交流は、都市部よりも地方の方が盛んです。近所づきあいが濃厚な傾向にあり、エリアによってはさまざまな祭りやイベントが開催されます。半強制的に参加しなければならないケースも多々あるため、疲労やストレスが溜まりやすいというデメリットがあります。以下は、地方で実施される催し物の例です。

・餅つき大会
・地域住民によるバザー
・月1回のゴミ拾い活動
・年1回の祭りとそれに伴う準備(炊き出しや飾りつけ等)

特に娯楽の少ない田舎エリアでは、多彩な催し物をしています。地域住民全体が協力してイベントを成功させるといった価値観を持つ人も多く、参加しない=近隣住民との間に亀裂が入ることを意味します。地域交流に多くの時間と手間を割かなければならないため、地方移住したことを後悔してしまうかもしれません。また、田舎エリアには、住民同士の距離感が近いという特徴があります。中には家のカギをかけない世帯もあり、隣人が無断で家の中に入って来ることが一般的という地域も存在します。都市部ほどにパーソナルスペースを尊重する文化や考え方がないことから、近所付き合いの濃い生活に溶け込む覚悟が必要です。