『12人のパパ』ゲイル・ラーナー監督 オンラインインタビュー

――お時間ありがとうございます。そして、(配信)おめでとうございます。とても感動的で、心温まる作品でした。

ゲイル・ラーナー:ありがとう!

――ゲイル、この映画は、1950年と2003年のヒット映画のリメイクです。あなた方はなぜ、この作品を再びリメイクすることにしたのですか?

ゲイル・ラーナー:私たちは、それらの映画をもう一度作るんだとは考えなかった。それらの映画はそれぞれが独立した素晴らしい作品なの。それぞれが、それらの時代でアイコニック(象徴的)でとても愛されている作品だし、私たちは、この作品をリメイクとは考えなかった。でも、アメリカの家族がずっと多様性に富んでいて、ずっと広がりのあるものであるのを見て育った新しい世代のために、(その作品を)想像し直すことが必要だと考えたの。家族がどういうものかについての考えはとても変化したわ。だから、私たちは、それを表現する機会をとても気に入ったの。

――あなたはすでに、私の次の質問に答えたかもしれませんが、今、多様性は他のどんな時代よりも重要視されています。あなたはこれはリメイクではないと言いましたが、この映画をもう一度作り直す意味をどのように見ていますか?今の私たちの社会を反映した方法で。

ゲイル・ラーナー:今起きていることは、私たちが違いに目を向けるようになって、違いを受け入れていることなの。私たちみんなが同じであるということに完全に重点を置くのは素晴らしいと思う。私たちには、違いより多くの共通点があるの。でも、「ねえ見て、私たちはみんな同じよ」と言うのではなく、この映画は、「私たちみんなが違う存在で、親として、人として、私たちみんなに違うスキル(能力)がある」という事実を受け入れているの。そして、愛されていて、受け入れてもらって、大切にされていると感じる健康で自信に溢れた子供たちを育てるために、私たちは、そういったあらゆるスキルを本当に用いる必要があるの。

――監督として、この映画にアプローチする際、なにが最も重要なことでしたか?

ゲイル・ラーナー:私にとって最も重要だったのは、すべての子供たちにとって、大人もそうだったけど、特に子供たちが(現場で)安全で自由に感じられることだった。アドリブをしたり、彼ら自身でいられるようにすることだった。それと、子供たちや才能に溢れた大人の俳優たちが持ち込む陽気さや真実味ね。この映画に楽しい感じを与えるだけでなく、それがリアルに感じられるようにすることだったわ。

――あなたは、様々な年齢や性別の12人のキャストたちと仕事をしました。

ゲイル・ラーナー:そうね。

――それはあなたにとって、現場ではかなり大変なことだったと思います。若い役者たちを含んだこれだけ多くのキャストと仕事をするのはどういった感じでしたか?

ゲイル・ラーナー:そこで最も重要だったのは、こういった若い役者たちと仕事をすることだったと言うわ。彼らの何人かは主にコマーシャルやプリント広告、声優をやっていたの。なぜなら、彼らはとても幼かったからね。でも、彼らに自分自身の身体的特徴や、自分自身のコメディのスタイルを見つけるのを手助けするには、時々、彼らにセリフを読ませたり、どこに座って、どこに立つかということを見せたりしないといけない。それに対して、大人たちはずっと自由で、もっと経験があるわ。でも、時々、子供たちは、自分自身の自然なコメディを見つけるの。それか、彼ら自身の自然な演技をね。そして、そういったことを日々続けていくの。彼らは、映画をやっている間に、ものすごく成長したし、私は彼らことをとても誇りに感じたわ。

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――撮影前に、リハーサルの時間をかなり設けられたのですか?

ゲイル・ラーナー:そうなの。とても十分な量のリハーサル時間があったわ。私はそれを、ほとんどサマーキャンプのように扱った。私は多くのゲームや曲芸(お手玉とか)ゲームをクリエイトしたの。サンドウィッチを作ったり、リレーレースをしたり、名前を学ぶゲームをたくさんやったわ。なぜなら、初めて会って、(映画の中で)家族にならないといけなかったし、お互いの本当の名前やキャラクターの名前を学ばないといけない人たちがたくさんいたからね。私はそれを楽しくて陽気なものにして、家族で楽しむ感覚を作ろうとしたの。そうすれば、彼らは仲良くなれて、カメラの前で本当に心が通った家族になれるの。

――そのキャンプはどのぐらいでしたか?彼らは(撮影前に)どのぐらいの時間を一緒に過ごしたのですか?

ゲイル・ラーナー:7日間ぐらいリハーサルをしたと思う。それは映画ではとても多い方なの。間違いなく多いわ。そこでは、小さなグループになって、シーンをリハーサルしたわ。でも、多くの子供たちに、それぞれ違う物語があって、彼ら独自の問題があるの。それで1日、全ての子供たちを夕食のテーブルに集めて、彼らの問題について、キャラクターになって話させたの。そして、お互いに意見をやりとりさせたの。彼らが本当の兄弟(姉妹)のように、お互いにアドバイスし合うのを見るのはとても楽しかったわ。

――あなたは前にも子供の役者と仕事をしていますが、彼らと仕事をする際のコツはなんですか?

ゲイル・ラーナー:それは、その瞬間に起きていることにとても注意を払うことだと思う。時々、私にはあるアイディアがあるんだけど、子供たちがやっていることが(そのアイディアと)違っていたりするの。もし私が「Q」を考えていたら、彼らは「M」を考えているの。そしてそれは、「Mでやってみよう」といった感じなの。彼らがそれをやっているわけで、それはリアルで、有機的なの。(でも)Qをやることがとても重要な時は、彼らはそれを学ぶことになる。でも、彼ら自身の直感に従わせるの。そして、私がそれらを追いかけていくというのが、そこでのキーポイントだと思う。

――つまり、とても臨機応変にやらないといけないわけですね。

ゲイル・ラーナー:そうね。

――そして、彼らと仕事をするには有機的に(子供たちの中から自然に演技が出てくるように)やらないといけないわけですね。

ゲイル・ラーナー:そうなの。

――あなたはこの作品をリメイクとして見ていませんが、もし、同様のアイディアを持った映画やる場合、監督として、どんなことが難しくて、なにが簡単でしょうか?

ゲイル・ラーナー:一つ、私にとってとてもチャレンジだったのは、スティーブ・マーティンがやったショーン・レヴィのバージョンは、もっとコメディを押し出した作品だったことなの。そこにはもっと(コメディ的に)派手なシーンが入っていた。ケニー(脚本家のケニヤ・バリス)と私は、この映画をもっと現実的な作品として話していたし、私たちのコメディはもっと現実に根付いたものだけどね。(それで)撮影していて、時々、私の頭の中に、スティーブ・マーティン版があったの。そして、私は、「これは十分に可笑しくない。これは十分に滑稽なものになっていない」と考えていた。それで私は、スティーブ・マーティン版の監督だったショーン・レヴィに電話したの。(彼は)いつも話をしてくれたわ。彼のようなにものすごいキャリアを持った人(とんでもなく忙しい人)がどうやってそれをしてくれたのかわからないけど、彼はいつでも私の電話やテキスト(ショートメッセージ)に答えてくれたわ。そして私は(彼に)告白したの、「私はちょっと動揺している」とね。そしたら彼は、「あなたは違う映画を作っているんだ。全く違う映画をね。自分が作っている映画に自信を持って」と言ったの。彼からそういったことを聞いたり、それについて彼の応援を得られたことで、私はとても楽になれたの。

――日本にも大家族がいますし、日本の人たちはこの映画を見るのを楽しみにしています。日本の視聴者に、新しい『12人のパパ』の見どころを教えてください。

ゲイル・ラーナー:もちろんよ。家族や、親や子供にとって、この映画のなにが楽しいかというと、いろんなものがちょっとずつ入っていることなの。ドラッグレースがあるし、子供たちが犬を追いかけたり、親たちと子供たちの間で心温まる瞬間があるわ。(そして)可笑しいけど、今の世界についての鋭い社会的な主張が入っているの。家族にとってとても重要な多くのことを扱っているわ。そして何よりも、家族と寄り添って楽しめるとても楽しい映画なの。――この映画にはいくつかとても素晴らしいメッセージがあると思いました。日本の観客に、この映画からどんなメッセージを受け取ってもらうことを期待していますか?ゲイル・ラーナー:私たちはみんな、「自分たちにはもっとお金が必要だ」と考える罠にはまってしまうの。もっと大きな家、もっと立派なキャリアといったね。私にとって本当のレッスンだったのは、私たちの子供たちが本当に欲しいのは、もっと多くの時間や愛や思いやりや、もっと遊ぶことなの。人々がこの映画を見て、「自分の子供と遊びたい」と思ってくれることを期待しているわ。

――最後に、この映画での、ザック(・ブラフ)とガブリエル(・ユニオン)との仕事について簡単に話してください。

ゲイル・ラーナー:彼らは(お互いに)素晴らしい相手役だった。彼らはとても違うエネルギーを持ち込んだけど、コメディの量は同じだったわ。彼らは二人とも、自分自身の身体的特徴(体を使ったコメディ)を持ち込むことにとても長けていた。彼らは時々、全く思いもよらない最高に可笑しいことをするの。可笑しい脚本があるのはギフト(恵み)だし、私は作品に出来るだけコメディを持ち込むの。そしてそれから突然、「そのシーンをさらによくしてくれて、全てをもっと可笑しいものにしてくれるボーナスのコメディがここにあるわ」となるの。彼らはお互いをもっと可笑しい存在にしていたわ。彼らは両方とも、お互いを素晴らしく見せるために、とても寛大だったわ。

――ありがとうございました!

ゲイル・ラーナー:ありがとう!