城下町・鶴岡にある致道博物館は、歴史的建造物や民具などの文化財が集う博物館。平成30年(2018)には敷地内にあった建物のひとつ旧鶴岡警察署庁舎が保存修理工事を終えてお目見えし、さらに魅力を増した致道博物館について、詳しくご紹介します。
庄内地方の歴史を語る博物館
鶴岡は山形県の北西部・庄内地方にある城下町。江戸時代には庄内藩酒井家の統治のもとで繁栄し、今も往時の面影が残されています。
かつて城の三の丸があった場所にある致道博物館は国指定重要文化財の建造物3棟を有し、ほかにも多様な史料を収蔵・展示する博物館です。鶴岡駅からの道のりはおよそ2km。風情ある町並みをのんびり歩いて訪れるのがおすすめです。
致道博物館に残る名建築と庭園
敷地内に入るとすぐに、風格を感じさせる建物がいくつも見えてきます。庄内地方に残されていた貴重な建造物を保存・活用していくために、各地からここへ移築されてきたのです。
旧鶴岡警察署庁舎(国指定重要文化財)
明治17年(1884)に高橋兼吉の設計によって建てられた2階建ての木造建築。西洋の様式を取り入れつつ、日本在来の様式も見られる和洋折衷の建物です。老朽化のため平成25年(2013)から保存修理工事が行われていましたが、平成30年(2018)6月に改修を終えて一般公開されました。壁は建設当時と同じ水色に塗り直され、独特の趣を見せています。
旧西田川郡役所(国指定重要文化財)
明治14年(1881)に建てられた木造2階建ての建物。こちらも高橋兼吉の設計で、和洋折衷の様式です。中央には時計塔があり、そのたたずまいは旧鶴岡警察署庁舎よりもかわいらしい印象を与えます。内部には、庄内地方の歴史に関するさまざまな史料が展示されています。
渋谷家住宅(国指定重要文化財)
出羽三山のひとつ・湯殿山の麓の田麦俣(たむぎまた)という村にあった茅葺きの民家。文政5年(1822)に建てられた、致道博物館で最も古い建物です。雪深く養蚕が盛んな田麦俣の風土に適した「カブト造り」と呼ばれる独特の様式で、幕末から明治時代にかけての人々の暮らしをしのぶことができます。
御隠殿
御隠殿は幕末の庄内藩主・酒井忠発が建てた隠居所で、江戸にあった中屋敷の一部を転用した建物です。内部には江戸時代の鶴岡や庄内藩酒井家に関する展示が行われています。