『インポスター症候群』の特徴的な心理状態は?
自分の実力で勝ち取ったキャリアや功績が信じられなくなる、自分には人に褒められるような実力はないと過小評価をしてしまう『インポスター症候群』。その心理的な特徴とはどのようなものでしょう。
『インポスター症候群』は自分の実績を実感できず虚無感にとらわれる
今まで一生懸命頑張ってキャリアを重ね、現在の地位を手に入れたというのに、
成果を出しても、自分の努力の結果だと思えない『インポスター症候群』。
ふと気づいたら、心の中は虚無感でいっぱいということになりやすいのが特徴です。
自分自身に誇るべき魅力があることを素直に認めることができなくなるため、「今の自分のキャリアなんて大したことない」「自分に実力なんてない。ここまで来たのは単なるまぐれだ」と思いがちです。
『インポスター症候群』は他人の評価と自分自身の評価に落差を感じる
『インポスター症候群』に陥ると、高い評価を受けているにも関わらず「周囲の人は自分を過大評価しすぎている」と卑屈な気持ちに陥ったり、周囲の人が示す自分への高い評価と、自分自身への低すぎる評価の間で大きな落差が出てくるのが特徴です。
自分の成果や目標達成を素直に受け取れず、喜べないのは不幸です。そのままにしておくと、キャリアがあるにも関わらず、内面はどんどん自信をなくしてしまいます。
また、ちょっとしたアクシデントで仕事のブランクがあると、たちまち不安に襲われ、追い詰められてしまうことも少なくありません。
『インポスター症候群』は自分への否定的意見を恐れる
『インポスター症候群』に陥ると、極端な失敗や間違いや、他人からの否定的な意見を極度に恐れてしまうようになります。本来、そのような意見に動じる必要がないぐらいキャリアもあり、ハイクラスな位置にいる人でも、『インポスター症候群』に陥ると繊細で傷つきやすくなるため、不安やストレスで、うつ状態になってしまうことも少なくありません。しかも、自分が動揺していることを発覚するのを避けようとするため、それ以上の新しい挑戦や行動を抑制してしまいがちなのです。
『インポスター症候群』はSNSで追い詰められることも
今や誰もが使うSNS。心無い書き込みなどで追い詰められる人が多く、最近はそのあり方を見直す必要が叫ばれています。『インポスター症候群』に陥ると、他人の否定的意見を恐れるようになると同時に、こういったSNSでの心無い書き込みをされることにも大変敏感になってしまいます。自分のちょっとしたことや、失敗をSNSなどで騒がれたり、あげ足を取られたり、叩かれたりすることは一般の人以上に、『インポスター症候群』に陥っている人には大きなダメージを与えます。自分に自信を失っているときに辛辣な評価を受けると、「やはりそうなんだ、自分は詐欺師だ」とネガティブに共鳴して落ち込んでしまうのです。
逆に、投稿に「いいね」という賞賛の意見が相次ぐと、「違う、自分はみんなが思うような自分ではない」と返ってつらくなることも多いでしょう。褒められたり評価されると過小評価に走り、結局誰もわかってくれないと孤立感を深めます。結果として急にSNSを閉じてしまうこともあるでしょう。
『インポスター症候群』に陥りやすい女性の特徴は?
『インポスター症候群』に陥りやすい女性の特徴がいくつかあるので、自分に似た部分がないかチェックしてみましょう。
①完璧主義
『インポスター症候群』は完璧主義でプライドが高い人ほど陥る確率が高まります。
『インポスター症候群』にとらわれると、他人に自分の能力が偽物だと思われたくないという気持ちになり、今までより仕事に熱中するようになり、過労状態に陥ることも少なくないでしょう。『インポスター症候群』に陥ると、普通なら十分に感じられるはずの自信を持てなくなるため、自分の中で空回り感ばかりが強くなり、不安やストレスで精神的につらい状況に追い込まれたり、燃え尽き症候群や睡眠不足に陥ることも少なくありません。
②まじめな人
何事もまじめに取り組む人、謙虚な人もまた『インポスター症候群』に陥りやすいと言われています。特に日本は、謙虚であることを良しとする文化的な土壌が脈々と受け継がれているため「人に自分の功績を言ったり自慢するのははしたない」という意識が刷り込まれていることが多いでしょう。
また、「女性は女性らしく」「女性は出しゃばらず、いつも控えめでいなさい」などと親などからの刷り込みもあるはずです。そういったさまざまな意識の刷り込みがある中で『インポスター症候群』に陥ると、まじめな人ほど、自分に価値を見いだせない状態に陥ってしまうのです。
③自分を偽る人
『インポスター症候群』に陥ると、優秀な女性ほど自分の能力を偽って「私バカだから」などと友達の前で自己卑下してみたり、自分の実力にふさわしい仕事の案件が提示されても「私には荷が重い」とせっかくのチャンスをふいにしてしまうことが多いものです。自分の才能や知性を人に見せたら嫌われるのではないかという考えにとらわれてしまうのです。安心感を得るために、「自分はバカで、成功に値しない」というネガティブな暗示を自分にかけ続け、信じ込ませる状態を作り出してしまいます。
④自己アピールが苦手な人
『インポスター症候群』に陥ると、自己アピールをするのがとても苦手に感じることが多いでしょう。入学や入社面接のような場面では、自分の功績について話すことが大切ですが、功績は事実であれば決して自慢に聞こえることはありません。しかし、『インポスター症候群』に陥っていると、事実であっても、自己アピールするのは相手に自慢しているような違和感を持ってしまうため、自分の成果や知識を過小評価して伝えてしまい、結果として失敗することがあるのです。自分の功績を正当に受け止めた上で、そういった場面で上手に成果をアピールできるようにするには、まずは『インポスター症候群』から一刻も早く抜け出すことが肝心です。