繰り上げ返済シミュレーションの方法

繰り上げ返済のシミュレーションは、様々な組織や金融機関などによりWebサイト上で提供されている。おすすめは、金融広報中央委員会が提供しているお金の知恵・知識情報サイト「知るぽると」の「繰り上げ返済シミュレーション」である。金融広報中央委員会とは、日本銀行副総裁などが委員に入り、金融に関して暮らしに役立つ広報活動をする組織である。

知るぽるとの繰り上げ返済シミュレーションは、検索エンジンにて「知るぽると」「繰り上げ返済シミュレーション」の2つのキーワードで見つけることができる。使い方は簡単で、当初借入元金、当初借入期間、返済ずみ期間、借入金利、繰り上げ金額、などを入力すれば、繰り上げ返済のシミュレーションができる。

金融機関も繰り上げ返済シミュレーションをWebサイトに用意していることがあるため、住宅ローンを組んでいる金融機関のWebサイトを確認したり、金融機関の担当者などに相談してみるのも良いだろう。

繰り上げ返済シミュレーション比較、一度の返済と分割の返済

繰り上げ返済にて、100万円を一度に返済する場合と10万円を毎年10回返済する場合について、シミュレーションで比較してみる。

期間短縮型・返済額軽減型の比較シミュレーションと同じ条件になるが、3000万円を35年のフラット35で借り入れて2018年1月から返済開始し、固定金利1.5パーセント、返済方法は毎月の返済額が一定の元利均等返済とすると、毎月の返済額は91855円になる。返済開始から10年後以降に繰り上げ返済するとし、その時点での元金残高は約2297万円になる。ここでは期間短縮型を選ぶ。

100万円を10年後の2028年1月に一度に返済する場合は、支払回数が15回(1年3カ月分)減り、支払い利息を約44万円削減できる。

一方、2028年から2037年まで毎年1月に10万円ずつ(計10回)返済する場合は、支払回数が14回(1年2カ月分)減り、約35万円の支払い利息を削減できることになる。

支払い返済は早く行った方が支払い利息の削減効果が高いため、もちろん前者の方が効果は高いが、後者の方が分割のため余裕資金の確保という点では有利である。どちらを選ぶかはライフプラン次第になるだろう。

次に、2028年1月に余裕資金100万円を持っていて、これを10年間の投資で増やし、2038年1月に繰上げ返済する場合を確認する。上のケースと同じ住宅ローンでシミュレーションする。

2028年1月に100万円を投資し年3パーセントの利益で運用すると、10年後の2038年1月には約134万円になる。

ローン返済開始から20年後の2038年1月に134万円を初めて繰り上げ返済すると、約32万円の支払い利息の削減になる。2028年1月に100万円を繰り上げ返済した場合の約44万円の利息削減に比べると、このケースでは10年間投資せずに2028年1月に繰り上げ返済した方が良い結果となった。この比較から、資金を投資で増やしてから繰り上げ返済し住宅ローンの利息削減を狙うには、かなりの投資利益を得る必要があることが分かる。

ここまでいくつかのシミュレーションを紹介してきた。これらのシミュレーションでは、計算しやすい固定金利の住宅ローンを前提にした。もちろんシミュレーション結果は、住宅ローンの金利が大きく影響する。変動金利の住宅ローンを組んでいるのであれば、将来の金利を想定してシミュレーションすることができる。

保有している余裕資金のうち、住宅ローンの繰り上げ返済にどれだけ使うのかは悩ましい問題とも言える。また、期間短縮型・返済額軽減型の選択や、住宅ローン控除の考慮など、繰り上げ返済にて検討することは少なくない。ご自身の家庭のライフプランを元に、繰り上げ返済のシミュレーションを行い、最適と思われる繰り上げ返済プランを検討するのが良いだろう。

文・松本雄一(ビジネス・金融アドバイザー)/ZUU online

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