作品賞 少年の目を通した故郷を描く『ベルファスト』と予想
――作品賞で宇垣さんが「そもそも好き!」という気持ちから予想したのは『ベルファスト』。北アイルランド ベルファスト出身のケネス・ブラナー(製作・監督・脚本)が自身の幼少期を投影した自伝的作品です。 9歳の少年バディの目線を通して、愛と笑顔と興奮に満ちた日常から一変、激動の時代に翻弄され様変わりしていく故郷を、モノクロ映像で描き出します。
「予想が難しいんですよね。でも私は有力な『パワー・オブ・ザ・ドッグ』の対抗馬としての『ベルファスト』かな。『ベルファスト』は『コーダ あいのうた』と同じくきっとみんなが好きな作品だなと思っていて、そういった意味でも可能性があるな、と。
たくさんノミネートされているとか、大作だからという前に、私自身『ベルファスト』が大好きな作品なんです。でも全作品見て欲しいなあ」
他にも、1920年代のアメリカ・モンタナ州を舞台に、ベネディクト・カンバーバッチが周りの人々に恐怖と畏怖を与えるカリスマ的な牧場主を演じた『パワー・オブ・ザ・ドッグ』や、耳が聞こえない家族の中で一人だけ“健聴者”である少女が「歌う」夢のために踏み出していくことで問題を力に変えていく姿を描いた『コーダ あいのうた』などがノミネートされています。
監督賞こそ『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ジェーン・カンピオン
――監督賞は?
「監督賞こそ、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオンかしらという気がします。そもそもあの作品における、言葉ではない、セリフではない説明。丁寧過ぎるぐらい丁寧に、なぜこうなったのかを、画面で表現しているのはすごい。
あの一つ一つを説明して、わからないとは言わせないっていう感じに構成しているなと思って。それはやっぱりカンピオン監督のなんというか、細かいところまでは目を行き届かせた結果なのかなと思っています」