中国のライセンスビジネス

 ライセンシングインターナショナルによると中国のIP市場の規模は世界の約5%に相当する100億ドル。’17年には版権商品が700億元(約1兆1400億円)以上となった。IPのスタートアップも増えている。周辺環境が優れていることも要因の一つだ。

「中国は日本や欧米のIP製品の製造拠点として培ってきた商品開発力とノウハウがあり、販売経路も整っています」(佐藤氏)

 ライセンスビジネスにおいては’10年に北京で創業され全世界で100万個以上を売り上げる総合フィギュアメーカー「POP MART」が成功し、大手雑貨店のMINISOもキャラクターグッズ専門店をオープンするなど活況だ。

 おまけに、クリエイターの人材も豊富である。

日本からの影響

「日本に留学し漫画やアニメを学んだ人、ハリウッドから帰国した優秀な3Dアニメ技術者が多く関わっている。日本のIP企業からヘッドハンティングされた人も活躍しています」(同)

 同じく前出の浦上氏も、中国が日本をベンチマークにしている傾向が強いと指摘する。それに加え、キャラクターを含めた商業コンテンツとデザインの全般的なクオリティが急速に上がったのも要因だ。

「アリババが『Z世代はボーダーレス』と言うように、若いクリエイターが海外にアクセスしやすくなったのが影響しています。殊にキャラクターに関しては日本を非常に意識しており、一方でビンドゥンドゥンに最も反応し火つけ役となったのが日本であることを見ても、日中で相互補完的に盛り上げていると言えます」(浦上氏)

 また、海外コンテンツが規制されている中国内で唯一、参入障壁が低いのがキャラクタービジネスだ。佐藤氏は「まだコンテンツも少なく、日本からの影響や流入は今後も続くでしょう」と言う。