北京五輪マスコット「ビンドゥンドゥン」が爆発的人気に! 経済効果450億円とも言われるその成功の裏には「脱・パクリ大国」への涙ぐましい努力があった-!?
「もうパクリとは言わせない」海賊版大国からの脱却目指す
北京五輪を機に、世界で最も有名なパンダとなったビンドゥンドゥン。莫大な経済効果をもたらし、中国ゆるキャラ史上にも金字塔を打ち立てたが……
中国において“ゆるキャラ”が誕生したのは’40年代後半、スポーツ大会の公式マスコットとしては’90年のアジア競技大会が最初であると言われている。その存在を世界に知らしめたのが、言うまでもなく北京五輪の「ビンドゥンドゥン」だろう。中国経済に詳しいジャーナリストの浦上早苗氏は語る。
「中国のキャラクターコンテンツといえば’05年の『喜羊羊』が社会現象になるほどでしたが、人気は国内にとどまった。グローバルにヒットした事例はビンドゥンドゥンが初めてでしょう」
しかも当初は、国内で冷遇されていたとか。
ビンドゥンドゥンが生み出された背景
「’19年の発表当時は『またパンダか』と酷評され、開会式直前の1月末時点でもそれほど話題になっていませんでした。しかし日本テレビ・辻岡義堂アナウンサーが言及し、その様子が中国メディアに取り上げられたのを境に突然トレンド入りしたのです。またぬいぐるみをメダリストに持たせるなど、SNSでの拡散を最大限に利用したことと、限定品を次々に投入するなど、マーケティングの巧みさが奏功したといえる」
しかし、ゆるキャラにおいてはまだまだ失敗事例も多く、’08年の北京夏季五輪のマスコットもさほど注目されなかった。そんななかでビンドゥンドゥンが生み出された背景には、中国のIP(知財)事業における土壌の健全化が関連しているといえる。中国でキャラクタービジネスを展開する佐藤宗高氏は、次のように話す。
「大規模なプラットフォームの台頭により、海賊版が可視化されやすくなり違反申告も容易になった。それと連動するように政策や各種協会、企業の知財管理も厳格化された結果、市場の規模と実態を正確に把握できるようになり、投資が多く入るようになったのです」