見えない、主人公ふたりの接点

そして最後の最後。数年後、春斗との思い出の鎌倉へさくらはひとり出かけていく。春斗から花火がきれいだと聞いていたので、一目見ようとやってきたのだ。「いつか一緒に見に行こう」と約束した花火を、並んで座った海岸で見上げている。

同じころ、春斗は車を走らせて鎌倉に向かっている。コンビニで飲み物を買って空を見上げると、花火が始まったところ。春斗もさくらとの思い出の海岸に行くのだろう。

篠原涼子主演『金魚妻』は葛藤のない不倫ドラマ。見終えてモヤモヤが残る理由
(画像=『女子SPA!』より引用)

そこで再会するのだろうが、ふたりがまた愛を育めるとは思えない。ふたりの接点が見えないからだ。

「不倫もしかたないよね」ですんでしまう

不倫とはいえ、そこにあるのは「恋」であり、「人間関係」である。

一般的に不貞はいけないことになっているので、「配偶者以外を愛したことによる葛藤」が生まれて苦しむことになる。離婚したくても子どものことを考えると別れられない。自分が我慢すれば平穏な生活が送れると思うから、自分の欲望を抑え込む。それでも会いたい気持ちが募る。だから葛藤する。

複雑に揺れ動く心理こそが、不倫ドラマにおける共感を呼ぶ。DV夫だったり、ゆり葉の家庭のように夫と姑が一枚岩で、主婦として居場所のないような家庭環境であれば、たとえ不倫をしても見ているほうが「家庭は崩壊しているも同然。しかたないよね」ですんでしまうのではないだろうか。

「人間の心理を見たい」なら感情移入するのはむずかしい

カメラワークはきれいだし、女優たちを魅力的に撮っているとは思うが、それだけではドラマのストーリーや登場人物の心理に感情移入するのはむずかしい。エロティックなシーンが多いと言われてはいるが、ベッドシーンがあればエロいわけではない。

たとえばなにげない指先の動きで苛立(いらだ)ちや欲求不満を表現できたら、女性の渇望をもっと出すことができていれば……などと素人ながら思う。

もちろん、「人間の心理を見たい」わけではなく、きれいな女優さんといい男の肉体を見たいという人にはお勧め、かもしれない。

<文/亀山早苗> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】

亀山早苗 フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio

提供・女子SPA!



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