近年、子どものいじめによる不幸な事故や事件が、続いています。

これに対して、「うちの子どもも、学校で物を隠されたり、ノートを破られたりしています。いじめの加害者の子を訴えることはできるのでしょうか」という質問を投げかけるのが、小学生の男の子を持つ加藤いずみさん(仮名・30代)です。

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子どもをいじめから救いたい。法的な措置はとれる?

我が子がいじめを受けたら、加害者が子どもでも法的措置はとれる?
(画像=『女子SPA!』より引用)

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「以前から、息子の様子がおかしいので様子を聞いてみると、同級生に物を隠されたり、ときには殴られたりしていることが発覚しました。子どもの心の傷を考えると、腹が立って仕方がないです……」

しかし、学校側に注意を促しても、なかなか状態は改善されないため、法的な措置を考えているそうです。仮に子どもがいじめられていることを知ったとき、親は法的な措置をとることができるのでしょうか。妻が知っておくべき法律をまとめた『妻六法』の著者であり、森法律事務所の副代表弁護士・森元みのり先生に聞きました。

我が子がいじめを受けたら、加害者が子どもでも法的措置はとれる?
(画像=『女子SPA!』より引用)

いじめの定義とは?いじめをしたらどんな罰則がある?

――いじめの定義とはどんなものなのでしょうか?

「いじめ防止対策推進法」の第2条では、「いじめ」とは「心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)」や「当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」と定義されています。そのため、被害者の子どもが「つらい」と感じる行為は、原則的にはすべて「いじめ」とみなされます。

――法律上、いじめをした場合はどんな罰則があるのでしょうか。

「いじめ防止対策推進法」では、「いじめをしてはいけない」と決められてはいるものの、具体的な罰則規定がありません。だからこそ、弁護士が、いじめに法的な視点から取り組む際に注目するのは、「具体的に被害者は加害者からどんな損害を受けたのか」という事実です。

 暴力を振るわれたのならば、暴行罪や傷害罪。脅されてお金を取られた場合は、恐喝罪に当たります。持ち物を隠されたり、壊された場合は、器物損害罪。誹謗中傷ならば、名誉毀損罪に当たります。

「いじめ」という言葉を取り上げると、子ども同士のケンカとしてうやむやに扱われてしまいがちですが、具体的な損害を通じて、その行為が法に触れるものなのかを判断していきます。だからこそ、自分の子どもが、「いじめに遭っている」と訴えてきたとき、感情だけに走らず、「子どもがどんな被害を受けたのか」を具体的に把握することが求められます。